Inside2016.11.25

もしも東京湾に巨大不明生物が現れたら――Yahoo!ニュースの初期対応を中の人が想像してみた【#シンゴジ実況】

イメージ:ペイレスイメージズ/アフロ

 映画「シン・ゴジラ」がヒットしています。Twitterでは先日、劇中に発生した出来事を時系列に沿ってつぶやくハッシュタグ「シンゴジ実況」が盛り上がりました。もしも自分がゴジラに遭遇したらと想像してツイートしているユーザーが多く、タイムラインは「これはありそう!」と思わずうなづくリアリティにあふれていました。

 Yahoo!ニュースは地震や台風などの災害時に役立つ情報をお届けすることを使命の1つとして、緊急時もサービスを維持できるよう、日頃からBCP(事業継続計画)を進めていますが、仮に東京湾に巨大不明生物が現れたとしたら、どんな対応をとることになるのでしょうか。初期段階のオペレーションやニュースの流れを、現在のYahoo!ニュースの仕組みをベースに想像してみました。

劇中で起こる出来事

東京から全力避難 そのときサービスを誰が守るのか

 まず大前提として災害時には、スタッフそれぞれが自らの身の安全を確保することが最優先です。Yahoo!ニュースは東京のオフィスが被災して機能しなくなった場合に備え、北九州、大阪、八戸の3カ所にも拠点を設け、編集者や技術者を配置しています。ゴジラの上陸地が首都圏ならば、東京のスタッフは全力で避難。その間、ほかの拠点でサービスを維持することになります。

 特に北九州は東日本大震災以降に“BCPの要”として設立したオフィスで、もし東京と連絡がとれなくなったら、指揮権はすぐに北九州に移る仕組みです。またいざというときに避難場所として使えるよう広めのスペースをあらかじめ確保しています。以前ヤフー内で実施した首都直下型地震を想定した訓練では、北九州が司令塔となって全体に指示を出し、拠点間の連携を確認しました。

関連記事:Yahoo!ニュースを死守せよ 防災訓練を「面倒くさい」で終わらせないために必要なこと

 もちろん巨大不明生物をめぐっては、襲撃時間や場所、交通機関の状況など不確定要素が多いため、防災訓練のようにうまくは行かないと想定されますが、初期段階の基本的なYahoo!ニュースの“人の流れ”は上記のようになっています。

以前実施した防災訓練

1秒間に数万アクセス サイトのトップに「あの枠」出現

 スタッフの安全が確保されている前提で話を進めましょう。「東京湾内羽田沖で大量の水蒸気が噴出」――異変を知らせる最初の一報が、Yahoo!ニュースに配信されたとします。この時点では、水蒸気の原因がゴジラかどうかも分かりません。事件なのか? 事故なのか? それとも自然災害か? 何やら不穏な気配。国民の身近に危険が迫っている緊急事態だとYahoo!ニュースの編集者が判断した場合には、サイトのトップに「あの枠」が現れます。

これがあの枠

 地震の揺れを感じてYahoo! JAPANを見に行ったら上記画像のような枠が出ていた……といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この枠は「災害情報表示機能」といって、表示する情報は「地震」「津波」「重大ニュース」の3種類。いずれもYahoo! JAPANの各サービスのトップページに一斉に出現します。時間帯や災害の起こった地域や規模によって異なりますが、1秒間あたり数万単位のアクセスがあります。

 「災害情報表示機能」の運用が始まったのは2004年12月。新潟県中越地震(2004年10月)を教訓にスタートしました。当初は「地震」のみで、「津波」の提供開始は2005年6月。「重大ニュース」は昨年2月から開始しました。「地震」は震度3以上が発生した際、「津波」は津波警報以上が発表された際に自動で表示しています。

 一方「重大ニュース」は、「国民の生命や財産に影響を与える」とみられる重要なニュースが起こった際、Yahoo!ニュースの編集者の判断によって掲出が決まり、手作業で入稿しています。それだけに編集者の責任は重大。「巨大不明生物か 東京に上陸」――うーむ、入稿の手が震えるほどの緊張感がありますね。

 ちなみに過去に「災害情報表示機能」を活用したケースのうち、地震と津波以外の情報で掲出したのは2回だけ(2016年11月現在)です。皆さん、何のニュースかわかりますでしょうか? 実は「鹿児島・口永良部島が噴火」(2015年5月29日)と、「天皇陛下が生前退位のご意向」(2016年7月13日)が報道された際に掲出しました。もしYahoo! JAPANをご利用の際、この枠に遭遇したら、ぜひ注目していただければと思います。

関連記事:1秒間に数万アクセス――地震発生時にYahoo! JAPANトップに現れる“あの枠”の裏側

Yahoo!ニュース トピックスのトップ8本すべてゴジラ関連に?

 「災害情報表示機能」と並行して、Yahoo!ニュース トピックスにも最新情報を掲出します。情報が詳しくなったり、状況が変化したりすると、Yahoo!ニュース トピックスの見出しも「東京湾 大量の水蒸気が噴出」(初報)⇒「東京湾 巨大生物の目撃情報」(続報)⇒「巨大不明生物か 東京に上陸」(さらに続報)という感じで、目まぐるしく変わっていくでしょう。

 Yahoo!ニュースのトップページに並ぶ8本のトピックスは普段、国内・国際ニュースのほか、スポーツやエンタメといった幅広い話題が並んでいますが、東日本大震災の発生直後はすべて震災関連の話題になりました。ゴジラ襲撃ほどの緊急事態であれば、トップページは上から「巨大不明生物の進路」「政府の対応」「避難情報」「専門家の見解」「各国の反応」――といった感じで、ゴジラの話題がずらっと並ぶことになります。

 スマホユーザー向けにはプッシュ通知を活用します。Yahoo!ニュースアプリには編集者が重要なニュースをピックアップし、プッシュ通知でお知らせする機能があります。また全国向けのプッシュ通知とは別に、特定の地域にのみプッシュ通知を配信する機能を備えています。あなたの地元にゴジラが近づいている…! そんな情報がもし届いたら、どうか落ち着いて速やかに避難してください。

ゴジラ出現が深夜でも気付ける? 24時間365日の編集体制 抜き打ち訓練も

 Yahoo!ニュース トピックスの編集者は4交代のシフト制で、24時間365日対応しています。例えゴジラ襲撃が深夜であろうと、正月であろうと、メディアから記事を配信していただける限り、見逃すことはないよう準備しています。もちろん、先ほど説明したプッシュ通知も24時間365日対応可能です。

 災害への対応として最も基本的なことは、何かあった時にすぐにそれに気付くことだとYahoo!ニュースは考えています。編集部の深夜の体制は2009年から段階的に強化していますが、それも災害対応のためでした。また災害時はアクセス数が急激に増えるため、その負荷を乗り切ることも極めて重要で、いざという時はエンジニアやディレクター陣も跳ね起きています。

 そのため防災訓練としてYahoo!ニュースでは、平時の夜中に「抜き打ちで送られてきたメッセージにすぐに返信する訓練」が突然行われることもあります。

関連記事:深夜に何しているの? Yahoo!ニュース「夜勤」の裏側

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