Inside2022.08.05

一目で専門家の解説を参考にできるように――Yahoo!ニュース 公式コメンテーターをめぐる進化

Yahoo!ニュースのコメント欄には、ユーザーのコメントの他に、「公式コメンテーター(以下、コメンテーター)」と呼ばれる専門家のコメントも表示されており、ユーザーに多様な視点を提供しています。Yahoo!ニュース アプリでは、コメンテーターがコメントした記事には、トピックスの見出しには「専門家の解説」と表示されるようになり、認知も一気に向上しました。この「専門家の解説」ラベルの意図を、Yahoo!ニュースの企画の濱田英理子、山田貴史に聞きました。

濱田英理子
Yahoo!ニュース 企画
山田貴史
Yahoo!ニュース 企画

――「専門家の解説」ラベルの構想は2021年10月からあったそうですね。どういう流れでリリースされたのでしょうか?

濱田
去年の10月にアイデアがスタートして、今年1月には一部のユーザーのみなさんにテストとして公開して、2月に全体にリリースしました。

――そもそも「専門家の解説」ラベルという発想が出てきたのは、どういうきっかけだったのでしょうか?

濱田
ニュースに対しての専門家の意見や解説もあることを知ってもらいたかったんです。それまでは埋もれすぎてしまっていたので、専門家のコメントに注目してもらおうとしました。
山田
あるコメンテーターの方いわく、自分で勝手に顔写真をアイコンに設定して、Yahoo!ニュースに通常のコメントをしていると誤解されていたそうなんです。そういう状況は由々しき問題だなと考えました。

――「専門家の解説」ラベルをリリースして、反応はいかがでしたか?

山田
ネガティブな反応は少なかったですね。専門家のコメントがあることを、「専門家の解説」ラベルで伝えられて、コメントの内容も良くて、認知していただくために機能しているなと考えています。
濱田
Yahoo!ニュース アプリだと、「専門家の解説」ラベルが付いていて、それをタップするとトピックスの詳細ページに行くじゃないですか。すると、その画面の下に、ポコッと「コメントフッター」が出てくるんです。専門家ラベルとともに新たにその機能をつけたんですけど、そこを押すと、コメント欄に飛んで見られるんです。専門家ラベルを出すようになってから、解説を読んでから改めて記事本文を読む人も増えたと思いますし、ニュースをより多角的に理解してもらいやすくなったと思います。

山田
「専門家の解説」ラベルって、看板みたいなものじゃないですか。道しるべとして、専門家の解説にたどり着けるようにしたいんです。そのためのアテンションはうまくいったと手ごたえを感じていますね。

2020年9月に取り組みが始まった当初は50人だったコメンテーターは、2022年6月現在で225人。今後も、より多くの分野で専門家のコメントを掲載できるよう、人数を増やしていく計画です。コメンテーターへの取り組みの進化や、反響が大きくなってきた過程について、Yahoo!ニュースの編集の佐藤公治、佐藤匠に聞きました。

佐藤公治
Yahoo!ニュース 編集
佐藤匠
Yahoo!ニュース 編集

――コメンテーターの制度は、いつから開始されたのでしょうか?

佐藤公治
2020年からです。コメント欄は2007年に提供開始していますが、より活発に多様な意見が集まるように、Yahoo!ニュース 個人のオーサーにコメント投稿を始めてもらったのが2014年。そして、コメント投稿に特化した、「公式コメンテーター」を開始したのが2020年9月28日です。

――最近ではどのようなコメンテーターが活躍されていますか?

佐藤公治
世界や日本を揺るがすような大きな出来事が起きた際など、数々のニュースが報じられるようになるだろうことを予見し、関連解説をいただけそうな各分野の専門家を探してすぐさまお声がけしています。ロシアのウクライナへの侵攻が起きてからは、ウクライナの研究をされている神戸学院大学経済学部教授の岡部芳彦さんに参加していただきました。

岡部芳彦さんのページ | Yahoo!ニュース
コロナ禍になってからは、感染症の専門家として、埼玉医科大学教授の岡秀昭さん、元WHO(世界保健機関)健康危機管理官の阿部圭史さんに参加していただきました。

・岡秀昭さんのページ | Yahoo!ニュース
・阿部圭史さんのページ | Yahoo!ニュース

火災科学研究所所長の松山賢さんなど、火災の専門家の方にも参加していただいています。どういう建物だと火の回りが早いとか、建物の構造上、防火設備がどういったものになるかなどを解説していただきたいと考えました。

・松山賢さんのページ | Yahoo!ニュース

佐藤匠
ニュース記事に専門家の方にコメント投稿していただくと、そのぶん記事がリッチになります。ひとつのニュースを契機に、多角的な専門家の視点が入っている記事になると良いと考えています。
佐藤公治
あおり運転による事故が数多く報道された際には、交通事故鑑定人の熊谷宗徳さん、日本事故防止推進機構理事長の上西一美さんに参加していただきました。交通事故のニュース記事に対して、熊谷さんや上西さんの他、弁護士の方や自動車の専門家の方もコメントを投稿してくださり、他では見ない厚みのある内容になったこともありました。

・熊谷宗徳さんのページ | Yahoo!ニュース
・上西一美さんのページ | Yahoo!ニュース

日々のニュースでは、殺人事件も含めて、いろいろな刑事事件が出てくるので、元徳島県警捜査第一課警部の秋山博康さん、元刑事部捜査第一課・警部補の佐々木成三さんにも参加していただきました。

・秋山博康さんのページ | Yahoo!ニュース
・佐々木成三さんのページ | Yahoo!ニュース

――4360万円誤送金事件についての前田恒彦さんのコメントは、速報的な記事の行間を補強する、専門家ならではの具体的な解説だとして話題を呼びました。また、安倍元首相の襲撃事件後の江川紹子さんのコメントは、読者に新たな視点を提供していると注目されましたね。ユーザーにとって理解を深める大きな価値を届けていただけたと思います。

佐藤匠
特に速報的なニュース記事は多くの情報量が盛り込まれていないこともありますし、読み手の知識も個人によってばらつきがあります。そういうギャップをYahoo!ニュースではコメンテーターによって埋めていただきたいと考えています。

――コメンテーターを表彰するシステムもあるそうですね。

佐藤公治
毎月2、3本程度、「月間MVC(Most Valuable Comment)」として選んで表彰する制度があります。コメンテーターのコメント投稿欄に表示される「参考になった」の数にかかわらず、ニュースへの理解を深めてくれたとYahoo!ニュース 公式コメンテーター編集部が判断したコメントを表彰しています。さらに、年間を通して専門家ならではの価値あるコメントを提供してくださった方を表彰する「コメンテーターアワード」もあります。

――最近では、Yahoo!ニュースの公式コメンテーターであることを、他媒体でのご自身のプロフィールや記事タイトルに入れてくださる人も出てきていて、認知度も高まってきていますね。今後、コメンテーターというシステムをどういかしていきたいでしょうか?

佐藤匠
コメンテーターに限らず、「ニュースを読むならYahoo!ニュースで読むのが一番いいよね」って、みなさんに思っていただきたいと考えております。常に改善を試みています。コメント欄があることで発見もあるでしょうし、その他に「ココがポイント」と題されたQ&Aもあって、「ニュースを読むときに一番わかりやすい」と思っていただける工夫を、コメンテーターを含めて実施しています。今後も模索しながら、わかりやすくより価値のある情報を届けていくことができればなと思っています。
佐藤公治
例えば、ロシアによるウクライナへの侵攻が起きたとき、すでにヨーロッパ関連の専門家の方が参画してくださっていたので、タイムリーな解説コメントを投稿いただくことが可能でした。そのように、どんなニュースが発生しても、それを詳しく解説していただけるように、さまざまなジャンルの専門家の方にご参画いただきたいと考えております。
また、発信されるニュースのジャンルやその頻度、読まれる傾向なども分析し、ご参画いただいた専門家の方のコメント機会を増やし、活躍いただきやすい状況を作るのが大切だと思っています。

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