Inside2016.10.05

Yahoo!ニュース月間150億PVの内訳を解説 スマホはPCの約2倍に

Yahoo!ニュースは今年8月、月間152億ページビュー(PV)を記録しました。150億PVを突破したのは、1996年のサービス開始以来20年間で初めてのことです。月間100億PVだった2年前と比較すると、スマホシフトは一段と進み、スマホ単体で100億PVの大台も見えてきました。またPCも成長を続けています。今回の記事では8月の事例を中心に、PVの増加と、その裏にあるニュースの伝え方の多様化について振り返ってみたいと思います。

スマホはPCの約2倍に

以下はYahoo!ニュースの3年間の月間PVの推移を示したグラフです。

今年8月の内訳を見てみると、152億PVのうちスマホが94億PV、PCが54億PV、その他(タブレット、フィーチャーフォンなど)が4億PVとなっています。Yahoo!ニュースでは2014年6月に月間100億PVを記録するとともに、スマホがPCを初めて逆転し2015年8月にはスマホがPCの1.5倍に達していましたが、デバイス間の差はさらに拡大し、今年8月はスマホがPCの2倍近いアクセスを占めるようになりました。

総務省がまとめた「平成28年度版 情報通信白書」によると、日本のスマートフォンの利用率は全体で6割強、20代では87%に達しています。またニールセンの調査によれば、スマホからのインターネット利用人口は5000万人(2015年7~9月)を超え、「2015年はほぼ全てのインターネットサービスカテゴリーにおいて、スマートフォンからの利用が当たり前になった年」と指摘しています。Yahoo!ニュースにおけるスマホ率の推移もこうした社会環境を反映したものと言えそうです。

Yahoo!ニュースアプリの成長も、Yahoo!ニュースのスマホシフトを支えている理由の1つです。8月のYahoo!ニュースアプリの月間利用者数(MAU)は昨年8月に比べ1.8倍になりました。


一方でYahoo!ニュースのPCからの利用が減っているわけではありません。PCもスマホほどではないにせよ成長を続けており、今年8月のPCのPVは2014年8月より14%増えています。Yahoo!ニュースのデータ分析を担当している竹田辰彦は「スマホは朝から夜中まで休平日を問わずアクセスがあるので、生活に密着していつでも欲しい情報をお届けできているのではないでしょうか。またPCは平日昼間のアクセスが多く、オフィスでの情報収集媒体として高い支持を今も得ていると言えそうです」と話します。

リオ五輪、台風上陸 重大ニュースが相次いだ8月

8月は夏休みと重なる時期ということもあり、ニュースの量が減少するため、例年この時期はアクセスの低下が見込まれます。それなのに今年はなぜ、過去最高のPVとなったのでしょうか。8月にYahoo!ニュースでアクセスを集めたニュースの中身と、それらのニュースの伝え方という2つの軸で考えてみたいと思います。

上記のグラフは8月の日次PVです。まず最初の大きな山となっている8月8日は、天皇陛下が「お気持ち」を表明された日です。デバイスごとに見てみると、特にPCで前日よりぐっとPVが増えていました。「お気持ち」表明が平日の昼間(月曜日午後3時)だったため、仕事などの合間にPCからニュースをチェックした方が多かったのかもしれません。

8月中盤はリオ五輪(8月5日~21日)での日本人の活躍などを背景に、PVが高止まりした状態が続きました。さらに、SMAPの解散発表(8月14日)、夏目アナと有吉の交際報道(8月24日)、高畑裕太さん騒動(8月25日)と、エンタメでも注目度の高い話題が相次ぎました。終盤は、岩手や北海道に甚大な被害をもたらした台風10号を中心に天気のニュースに関心が集まり、グラフに山ができています。(※10月5日午後5時20分追記:日次PVグラフの一部に誤りがあったため修正しました)

よりリアルタイムに、豊かな表現で――スマホ時代のニュースの届け方を模索

スマホ普及がニュースにもたらしたもの、そのひとつは“リアルタイム化”ではないでしょうか。報道媒体がニュース映像をインターネットでライブ配信したり、SNSに投稿された情報からニュースの端緒をいち早くつかみ報道したりするスタイルは今や当たり前となっています。またスマホアプリではニュースをプッシュ通知でユーザーの手元に直接、即座に届ることが可能となりました。Yahoo!ニュースアプリも下記のように取り組んでいます。

天皇陛下の「お気持ち」表明や台風10号のニュースをお届けする際に、Yahoo!ニュースが活用したのは「ライブブログ」です。ライブブログとは、災害や事件、政治など大きなニュースの発生時、メディアが記事や写真、公的機関の発表、一般の方のSNS投稿などの素材を組み合わせて、ニュースの流れや最新情報を伝える手法です。Yahoo!ニュースはライブブログツールを独自に開発し、昨年6月ごろから運用してきました。

熊本地震の事例を紹介した上記の記事にもあるように、ライブブログは、状況が刻々と変化するニュースが発生した時や、特定の話題に関して情報があふれて整理が必要な場面で活躍しています。

天皇陛下の「お気持ち」表明を受けたライブブログでは、日本テレビの協力を得て、生放送の映像を見られるようにしたほか、「生前退位とは何か」といった解説コンテンツや、政府・識者の反応を報じた記事へのリンクをYahoo!ニュースの編集者が1ページにまとめました。背景が複雑なニュース、前提知識が必要とされるニュースも、ライブブログで要点を押さえることで理解を深めることができると考えています。

台風10号のライブブログでは、Yahoo!天気・災害と連携して、雨雲の動きや台風の進路を大きなビジュアルでお見せしつつ、備えに関する情報を1ページにまとめ、実際に被害が出る前の段階で、Yahoo!ニュースの目立つ位置に掲出したり、「Yahoo!ニュースアプリ」の利用者にプッシュ通知でお届けしたりしました。さらに台風上陸後は、北海道・岩手の広範囲にわたった被害の全体像をお伝えするため、注意喚起用とは別のライブブログを新たに立ち上げ、現地の写真や動画、記事を整理しました。

一方、リオ五輪のニュースを伝える際、Yahoo!ニュース トピックスで活躍したのは「速報」というスタイルです。「速報 体操男子個人総合の決勝」「速報 福原愛銅メダルなるか」「速報テニス 錦織の準々決勝」といった形で、現在進行系の競技の情報を、テキスト中継とそれらを補完する写真や映像を使ってお届けしました。

Yahoo!ニュースというと、13文字の見出しの「Yahoo!ニュース トピックス」のイメージが強いかもしれません。そのスタイルは昔から変わっていませんが、トピックスのメインとなる記事やそれらを補強する関連リンクには、ライブブログやテキスト速報のようなよりリアルタイム性の高い新しい手法を採用し、スマホ時代に合わせたニュースの伝え方を日々模索しています。

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