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韓国女子ゴルフでメジャー大会“消滅”の衝撃!ツアー最高賞金額で今年は原英莉花も出場…日本に所属選手も

金明昱スポーツライター
今年の「ハンファクラシック」に推薦で出場した原英莉花(写真・KLPGA)

 今季の日本女子ゴルフツアーは38試合が行われたが、来年から「明治安田レディス ヨコハマタイヤ」が開催されないことが決まった。2008年から高知県で開催されてきたが、主催する「横浜ゴム」が11月29日に公式サイトで終了を発表していた。

 一方、韓国女子ゴルフツアーでも日程変更に新たな動きがあったが、衝撃の内容だった。同ツアー史上最高の賞金額(今季は賞金総額17億ウォン=約1億8000万円)で開催されていたメジャー大会の「ハンファクラシック」が、来年から開催を中止する。

 大会を主催する「ハンファQセルズ」は、先月29日に「ゴルフスポンサーの運営縮小に対する立場表明文」とのタイトルで公式サイトを通じて、大会中断を発表した。

トーナメント開催中断は「事業戦略の適正性を検討した結果」

「ハンファQセルズは8月に開催した『ハンファクラシック2024』を最後に、ゴルフ大会の開催を中断することを決定しました。それに伴い、今季契約が終了するハンファQセルズゴルフ団の海外ツアー選手との再契約を行わない方針です。これは主催者であるハンファQセルズの事業戦略とゴルフ支援に関連する適正性を検討した結果の決定で、大会運営の中断に関連する今後の措置については、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)と円滑に協議を進めています」

 すでに水面下では、大会の中断は決まっていたのだろうが、KLPGAと選手にとっては、驚くべき決定と言えるかもしれない。

 というのも韓国大手財閥「ハンファ」が主催するツアー史上最高額という目玉の“メジャー大会”がそう簡単に消えるとは、誰も思っていなかったからだ。

日本ツアーのイ・ミニョンも所属契約打ち切り

 同大会は1990年のKLPGAツアー初の国際大会「ソウル女子オープン」の前身で、2011年から「ハンファファイナンシャルクラシック」と名称を変えて開催された。メジャー大会に昇格した17年から「ハンファクラシック」となり、日米ツアーからも選手を招待するなどして、今年まで続けてきた。今年は日本ツアーから原英莉花が推薦出場して、現地ファンからも注目を集めた大会でもあった。

 驚いたのは、国内ツアーでプレーする選手とは契約を継続するが、日米ツアーでプレーする選手との契約は打ち切ったこと。

 対象は米ツアー選手のチ・ウンヒ、シン・ジウン、キム・アリム、ソン・ユジン、日本ツアー選手のイ・ミニョンの5人。海外での活躍で企業名の露出で貢献度の高かった選手ばかりだが、さすがにこの報告には驚いたに違いない。決定を受けた選手たちは、メインスポンサー探しを始めているとも聞く。

 ただ、そう簡単に見つかることもなく、特に日本でプレーするツアー通算7勝のイ・ミニョンの所属先が来季開幕まで見つかるのかは気になるところだ。

メジャー大会消滅が来季日程どう影響?

 これで韓国女子ツアーのメジャー大会は5つから4つ(KLPGA選手権、韓国女子オープン、KB金融スター選手権、ハイト眞露選手権)に減った。KLPGAは新たな大会を開催する企業との交渉を始めるというが、メジャー規模の大会を開催するのはそう簡単ではないだろう。

 「ハンファQセルズ」の説明にもあったように企業の事業戦略の見直しという点からすれば、ゴルフトーナメント開催にかかる莫大な費用と選手へのスポンサードがかなり負担になっていたのは否めない。

 トーナメントの開催可否でその国や企業の経済状況が見えてくるものだが、韓国女子ツアーは今季開幕2試合を海外で開催するなど、グローバルにツアーを展開していこうとしている。そんな中でのメジャー大会消滅が、来季日程にどのような影響を及ぼすのかは気になるところだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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