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生まれつき性格の一部とも言える「劣等感」と「コンプレックス」の違い。そして、その活かし方。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日のテーマは、「劣等感とコンプレックスの違い」です。

劣等感とは、自分は劣っているのではないか? という感覚です。
この「自分は劣っているのではないか?」という思いは、他者と比べて…ということもあれば、自分の理想と比べて…ということもあります。また、他者と言っても「誰と比べるのか?」ということもありますし、「何と何を比べるのか? 」ということもあります

劣等感が強すぎると、自己否定に走り、「自分には生きる価値がないのではないか?」まで追い詰められたり、また自分より劣っている人を探し、その人をけなすことによって、自分の劣等感を消そうとしがちなので、このあたりは、本当に注意したいところです。

背が低いことで劣等感を覚える人もいれば、背が高いことで劣等感を覚える人もいれば、太り過ぎで劣等感を覚える人、痩せすぎで劣等感を覚える人、ホント劣等感はさまざまです。

私が思うに、日本人は、「良い大学を出ているかどうか?」「収入が多いか少ないか?」で劣等感を覚える人が多いのではないかと思います。
ちなみに、私が住んでいる愛知県は、ちょっと不思議な県民性を持っていて、「どこの大学を出たか?」より、「どこの高校を出たか?」に関心を寄せることが多いです。ねっ、これはちょっと不思議でしょ。これは、愛知県出身の方なら、「あるある」と首を縦に動かしてくれるのではないかと思います。

さて、この記事をご覧の方で、「今まで生きて来て、劣等感を覚えたことなど1度もない」と言う人は、さすがにいらっしゃらないのではないかと思いますが、もしもいたら、パーソナリティ障害の可能性もあるので、このあたりは、ちょっと注意したいところです。

次に、大切なのは、「劣等感とどうつきあっていくか?」ということになります。劣等感は、上手につきあうと自己成長につながりますし、下手につき合うと自己嫌悪に陥ったり抑うつ状態に陥りかねないので、このあたりは、どうぞ気をつけてください。

続いて、劣等感コンプレックス違いについてお話したいと思います。
劣等感は、自分が、他者や理想の自分と比べて劣っているのではないかと感じることを言います。そして、コンプレックスとは、ハッキリ・スッキリしないモヤっとした複雑な感情のことを言います。
よって、劣等感は、比較する人や対象があってこそ生まれてくる感情と言えますが、コンプレックスは、比較する人や対象がなくても生まれてくる感情と言うことが出来ます。たとえば、マザコン、マザーコンプレックスがそうですよね。マザコンの人は、自分の母親に特別な気持ちを持っていますが、それはよそのお母さんと比べてとどうこう…ということではないと思います。

ちなみに私は、生まれつきマザコンですが、実の母親には、コンプレックスを持ちませんでした。その代わり私は、母性溢れた優しい人を見ると、近寄りたいような近寄りたくないような複雑な気持ちになってしまいます。「近寄って優しくされたら非常に嬉しいけれど、近寄って冷たくされたら、メッチャ傷つくだろうなぁ」等と、もんもんとした気持ちになる…ということです。

生まれつき性格を研究している私は、誰もがコンプレックスを持っていると思っています。ただそれが、「強いか弱いか?」、そして「誰に対しコンプレックスを抱くのか、抱かないのか?」の違いはあります。私のようなお母さんコンプレックスを持っている人もいれば、お父さんコンプレックスを持っている人もいれば、子どもコンプレックスを持っている人もいる…ということです。

たった今、コンプレックスの話をした私ですが、劣等感についても同じです。劣等感を持ちやすいか、それとも持ちにくいかも、生まれつきある程度は決まっています

この記事をご覧のあなたは如何でしょうか?
劣等感を持ちやすいですか? 自信を失いやすいですか?
それとも、劣等感を持ちにくいですか? 自信を失うことはないですか?

でも、「劣等感が大きいか小さいか? 劣等感を持ちやすいか持ちにくいか?」は、育てられ方によって決まる部分のほうが大きいです。

愛深き養育者から、適切に愛されて育った人は、劣等感を持ちにくいですし、持ったとしても、それを自分の成長させる方向に使うことが出来ます。
逆に、愛浅き養育者から不適切に愛されて育った人は、劣等感を持ちやすいですし、持つと自分を責める方向か、他人を責める方向に使ってしまいます。

そういう意味から言えば、誰もが完全には逃れることが出来ない劣等感だからこそ、その感情を、自分のため社会のため使っていきたいものです。


というわけで、今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。


      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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