WBAスーパーライト級新チャンピオン
WBAスーパーライト級チャンピオンが繰り出す左右のフックが、再三空を切る。2021年12月にジャーボンテイ・デービスの持つWBAライト級タイトルに挑戦し、敗れたものの善戦したイサック・クルス。
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デービスとのリターンマッチを切望しながら、なかなか実現しない為、1階級上げて今年3月に世界王座に就いた。8回KO勝ちだった。
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そのクルスにとっての初防衛戦が、現地時間8月3日に催された。挑戦者は同じメキシコ人のホセ・バレンズエラ。MLS(メジャー・リーグ・サッカー)の強豪、LAFCのホームグラウンドであるBMOスタディアムで、両者は対峙した。
バレンズエラは、デビュー以来12戦全勝8KOと快進撃を続けていた2022年9月に、3回KOで屠られた過去がある。
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そして、再起戦でもクリス・コルバートに判定負けしてしまう。
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しかし、バレンズエラは前だけを見詰めた。2つ目の黒星から9カ月後、コルバートとのダイレクト・リマッチを6回KOで飾り、この日を迎えた。ライト級だったバレンズエラは、タイトル挑戦のチャンスを掴む為、140パウンドに増量した。
プロ生活初の敗北を喫した折、バレンズエラはクルスの前座を務めている。第3ラウンドでKO負けしたバレンズエラを尻目に、クルスは大歓声を背にしながら2回ノックアウト勝ちを収め、存在感を示した。
およそ2年前の同興行は、BMOスタディアムから車で10分の場所にあるクリプト・ドットコム・アリーナで行われた。バレンズエラは虎視眈々と、"その時"を窺っていた。
試合開始のゴングから、バレンズエラは冷静に自分の距離を保つ。ボクシングの基本であるジャブであしらい、クルスを自分の懐に入れさせない。そして随所に左ストレートをヒットしてポイントを稼ぐ。
クルスは苦し紛れに力を込めたフックを振るうが、その対策をバレンズエラは十分にしていた。
116-112、116-112、113-115のスプリット・ディシジョンで、バレンズエラは新チャンピオンとなる。
勝者は語った。
「私はプレッシャーに負けず、落ち着いていた。最高の気分だ。ジャブやフットワークで、ずっとリングをコントロールできていたように思う」
WBAスーパーライト級新チャンピオンは、2つの敗北を糧としたのだ。弾ける笑顔に、苦しい日々を乗り越えた彼の喜びを伝えていた。