【動物愛護管理法の数値規制導入】ペットショップ大手「クーアンドリク」の犬や猫の繁殖場に潜む問題
ペット業界最大手のクーアンドリクで顧客とのトラブルが続発してSNSで話題になっています。
この大手チェーンのペットショップは、大量に#生体販売 をしているので、その「#繁殖場 」はゴキブリやネズミだらけの中で、無理やり交尾させられているとデイリー新潮は伝えています。凄絶な繁殖現場にあるらしいのです。
クーアンドリクは、コロナ禍のペットブームの勢いにのり、現在、国内216店舗、上海など国外3店舗、売り上げ266億円(22年度)で日本最大のチェーンに上り詰めたそうです。
そのため、デイリー新潮は、元グループ会社社員のコメントとして、
と書いています。
実際、「繁殖場」に何頭の繁殖犬がいるか考えました。
「繁殖場」に何頭の繁殖犬がいるの?
一般社団法人ペットフード協会 令和4年全国犬猫飼育実態調査によりますと、ペットショップで購入が犬は51.9%、猫は16.9%です。
実際、動物病院で治療をしていても猫はペットショップで入手するよりも野良猫を拾ったり、知人に野良猫をもらったりする飼い主が多いです。
そのことを考えると、ペットショップで購入される数は、犬が多いのではないでしょうか。そのため、クーアンドリクのペットショップで購入される動物のうち、犬の割合は約7割だと仮定します。
そうすると、クーアンドリクの3万5千頭の犬が毎年、市場に出ていることになります。
年間5万頭の7割が犬としたら、雌の繁殖犬は何頭いるのか?
犬種や犬のサイズによって、生む子犬の数は異なります。
たとえば、チワワは平均3~5頭で、ラブラドール・レトリーバーは平均5~10頭で、バラつきがあります。そこで、犬の一回のお産は平均で5頭だとして以下の計算をします。
35000÷5=7000
つまり約7000頭の雌犬が繁殖場にいるわけです。
なぜ、こんな数字が出されるか?
改正動物愛護管理法が2021年6月に施行されました。初めて#数値規制 を導入したのです。数値規制のひとつに犬の繁殖は、一生涯6回で年齢は6歳までとなっています。
そのため、雌犬は、年1回出産すると(個体によって、毎年、出産できない子もいますが、計算のためにこのようにしています)考えると、クーアンドリクが1年間に犬が3万5千頭必要なので、それを産み出す繁殖犬は、7000頭が必要になります。
7000頭の繁殖犬に従業員数は?
改正動物愛護管理法により、従業員1人当たりで飼養保管する犬または猫の頭数の上限(既存事業者は段階的に適用)が決まっています。
犬:1人当たり20頭(うち繁殖犬15頭)が上限
猫:1人当たり30頭(うち繁殖猫25頭)が上限
この数は、段階的に繁殖犬の数が減っています。それは、急に決まると、遺棄される繁殖犬が増える可能性があるからです。
クーアンドリクは、既存事業者なので段階的に適用し、第一種動物取扱業なので令和6年6月1日に完全施行します。
繁殖場にいる犬は、繁殖犬なので、令和5年6月からは、1人当たり20頭の繁殖犬を世話できるので、7000÷20で350人の従業員が必要です。
令和6年6月からは、1人当たり15頭になり、7000÷15で約470人の従業員が必要になります。
行政は、繁殖場がゴキブリやネズミがいて不衛生の中、無理やり交尾をさせている現場を確かめることは、難しいかもしれません。
しかし、改正動物愛護管理法の従業員の数の数値規制があるのですから、クーアンドリクは動物愛護管理法に違反していないかが、わかりやすいのではないでしょうか。
繁殖場には、改正動物愛護管理法の数値規制を確かめる
2021年6月に施行された改正動物愛護管理法で、「数値規制」を導入したことは、大きな意味があります。客観視しやすいのです。
「数値さえ守っていればOK」と捉えられるのではという危惧もあります。しかし、クーアンドリクの犬の繁殖場が悲惨な状態になっていることを「従業員数」「繁殖の方法、回数」の物差しがあれば、客観的に違法だと言えます。
生体販売がまだある日本において、せめて繁殖場は適切な環境になってほしいものです。