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ジュニアGPファイナル、表彰台独占の日本女子 3連覇の島田麻央「日本のジュニア女子は層が厚い」

沢田聡子ライター
2024全日本ジュニア選手権での島田麻央(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

「初めての表彰台独占に私も入れたことはすごく嬉しいですし、今日のこの試合で、日本のジュニア女子は本当に層が厚くて、すごくたくさん素晴らしい選手がいることが分かったんじゃないかなと思います」(島田)

フィギュアスケートのグランプリ(以下GP)ファイナル(日本時間12月6~8日、フランス・グルノーブル)・ジュニア女子で、島田麻央(16)が金メダル、和田薫子(15)が銀メダル、中井亜美(16)が銅メダルを獲得し、初めて日本勢が表彰台を独占した。3連覇というもう一つの快挙を成し遂げた島田は、メダリスト会見で冒頭のコメントをしている。

既にジュニアGPファイナル2連覇中だった島田は「本番でしっかり練習通りの演技が出来るメンタル面」を課題に、今大会に臨んだ。過去のシーズンでは大きな試合で力を発揮出来ずにいた和田は、飛躍のシーズンを過ごしている。そして中井は去年もジュニアGPファイナルに出場しているが、腰痛の影響もあり5位だった。「落ち込んだ」と当時を振り返るが、「地道にコツコツ頑張ろう」と気持ちを切り替え、自分のスケートに足りないものを見つめ直してきた。

ショート1位の島田、2位の和田、3位の中井は、「みんなで表彰台に乗ろうね」と話し合ってフリーに臨んだという。

「みんなが頑張っているから自分も頑張ろう」という思いでフリーに臨んだ中井は、2本のトリプルアクセルに挑んだ。水色を基調とした爽やかな衣装で臨んだ演技冒頭、トリプルアクセル―3回転トウループを跳び、回転不足がついたものの着氷。続いて2本目のトリプルアクセルを単独で跳んだが、こちらは2回転になってしまった。しかしその後は演技をまとめ、『シンデレラ』を可憐に演じた。フリーは122.32で4位だったが、合計点は189.58で総合3位に入る。

続いて、モノトーンの衣装で登場した和田のフリーは『タイタニック』。「絶対頑張らないといけない」と臨んだ和田は、持ち前の伸びやかなスケーティングが映えるプログラムを、大きなミスなく滑り切った。2本の3回転ルッツを含むジャンプは飛距離と勢いがあり、いくつか回転不足はあったものの、初の大舞台で力を出し切った。フリーのスコアは123.98、合計191.75で総合2位となった。

最終滑走者である2連覇中の島田は、「私がちゃんとしっかりやらないと、またフリーでも表彰台独占できない」という思いを胸に、桃色と薄緑のグラデーションが美しい衣装で登場。歌詞に数々の俳句が取り入れられている『窓から見える』を使うフリーは、世界に日本の魅力を伝える優れたプログラムだ。既に母国を背負う存在である島田は、日本語の歌詞が流れる中、冒頭でトリプルアクセルに挑んだが、着氷が乱れる。続いて跳んだ4回転トウループは転倒したものの、3回転ルッツ―3回転トウループ、3回転サルコウ―3回転トウループは落ち着いて決めた。先月の全日本ジュニア選手権で2連続になってしまった3回転フリップからの3連続ジャンプは成功させたが、直後の3回転ループで転倒。珍しく2回の転倒があったものの、基礎点が高い構成でもあり、フリー125.74、合計199.46で3連覇を果たした。

メダリスト会見では、日本勢の表彰台独占についての質問があった。

「私自身初めてのジュニアグランプリファイナルで、二人に助けてもらったことも多いかなと思うので。みんなで頑張ってきて、みんなで一緒に表彰台に上がることが出来て、すごく嬉しいです」(和田)

「初めて表彰台に乗れてすごく嬉しいのと、この日本の二人の選手と一緒に表彰台に上がれたことはすごく嬉しいことだし、すごくいい結果だったなと思います」(中井)

4回転とトリプルアクセルに挑み続ける島田、2本のトリプルアクセルに挑戦した中井、すべての要素を高いクオリティで滑り切った和田。それぞれの強みを生かしてたどり着いた、晴れやかな表彰台だった。

3人は、今月下旬に大阪で行われる全日本選手権に出場する。ジュニアの規定ではショートに組み込めないトリプルアクセルは、シニアのショートでは跳ぶことが出来る。

「全日本という舞台は、挑戦者として挑むので。まずはショートにトリプルアクセルを入れることが出来るので、そこは絶対に挑戦したいと思っています。フリーも、ジュニアのプログラムと同様にトリプルアクセルと4回転トウループは挑戦し続けたいと思っているので、挑戦してしっかり決め切ることが目標です」(島田)

「今年初めて全日本選手権に出場することが出来て、すごく今嬉しい気持ちでいっぱいなので。ジュニアの構成とあまり変わらないのですが、やっぱりそこはショートもフリーも、自分の納得のいく演技ができればいいかなと思います」(和田)

「まずは、ショートプログラムでトリプルアクセルを入れることが目標です。フリーでは、今回決められなかったトリプルアクセル2本を着氷することが一番の目標なのですが、大舞台でいい演技をしたいという気持ちもあるので、その気持ちも忘れず楽しみたいなと思います」(中井)

世界の大舞台でメダルを独占したジュニアの精鋭3名は、全日本選手権でどんな滑りをみせるのだろうか。

ライター

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(フィギュアスケート、アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。2022年北京五輪を現地取材。

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