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日本代表は勝たなくてはいけない。ワールドカップ戦士・立川理道の思い。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
試合前日会見に臨む立川(筆者撮影)

 2015年のワールドカップイングランド大会に日本代表として出場し、南アフリカ代表などから歴史的3勝を挙げた立川理道が、7月6日、若手主体のJAPAN XVの一員としてマオリ・オールブラックスと対戦。前日、会場の愛知・豊田スタジアムで代表選手としてのマインドセットを明かした。

 身長180センチ、体重94キロの34歳。代表関連の活動に参加するのは22年夏以来となる。今度の試合ではリザーブとして、スタンドオフもしくはインサイドセンターでの出番を伺う。

 イングランド大会以来、約9年ぶりに再登板したエディー・ジョーンズヘッドコーチの変化、現体制が打ち出す「超速ラグビー」というコンセプトへの対応ぶりについて話す流れで、「負けてもいいという気持ちが少しでもあれば、絶対に結果はついてこない」。ファンにはチームが成長段階であるのを認識してもらったうえで、かつ、厳しい目線で見つめてもらいたいと話した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——2022年夏以来の代表復帰です。どんなスタンスでいますか。

「代表に戻って来られてすごく嬉しいです。練習などでハードワークするのは、間違いなく自分のやらなくてはいけない仕事のひとつです。ただ、それ以外にも求められているものはある。

若いリーダーたちが先頭に立って頑張っている。何かしんどくなった時に一言、二言、言える存在でいたいとは思っています。ただ、そんなに自分から何かを言うことはなく、(共同主将の)斎藤(直人)、原田(衛)を中心にいいチームになっています」

——試合までの合流期間は約1週間。戦術的なすり合わせなどで、難しさはありませんでしたか。

「コーチの麻田(一平)さん、ダン・ボーデンさん、もちろんエディーさんとコミュニケーションを取ることから始めて、選手にもたくさん聞く(質問する)ようにしました。速く展開してボールを動かすことには、それほど対応に苦しむことはなかったです。そのなかでサインコールなどの細かいところを覚え、1週間でなじんできたかなと思います」

——以前のエディーさんといまのエディーさん。変化はありますか。

「大きく変わることはないですが…。以前はエディーさんがリードしていた練習を、練習を練習ではハッツ(ニール・ハットリー)さん、ダンさんが(仕切る)。コーチ陣に役割を与え、見守る、ではないですが、(適宜)アドバイスする形になっています。ミーティングもかなり短くなっています。また、若い選手とより密にコミュニケーションを取っていると感じます」

——「超速ラグビー」とは。

「ただただ横にボールを動かすのではなく、サポートの寄り、そこからの球出し(を速め)、適切なスペースにボールを運ぶのが大事になります。そこから勢いを生み、それを止めないにように皆で動く。それについては1週間、先週の反省も含める形でさらに成長できています」

——追加召集の経緯について。当初は5月の候補合宿へも参加要請があったと聞きます。

「『もしかしたら呼ぶかもしれないから…』というの(伝達)がシーズン直後にあったのですが、怪我もあり菅平(5月の候補合宿)には行けなかった。そのなかでもしっかり身体を動かし、いつ呼ばれてもいいような準備はしていました。

 ただ、合流初日の練習が本当にきつくて。(隣に座る三浦昌悟と目を合わせ)月曜、やばかったよな? …僕はまだフレッシュな状態でしたけど、試合をした選手は疲労がたまった状態でその練習していた。きつい状態でも追い込みながら、自分たちの目指すべき方向に進んでいるのかなと」

——日本代表およびJAPAN XVは、現在2連敗中。複数の常連組が参加を見合わせるなか、チームを再構築しています。そう言えば、イングランド大会で結果を出すジョーンズ第1次政権も、初年度の2012年に勝てない時期を経ています。当時を踏まえ、ファンにはどんな点を見て欲しいですか。

「代表の試合は勝たなければならないです。どういうメンバーであれ日本代表。結果は求められる。そこに選手も責任を持って、それにコミットするのが大事。選手は日々成長しています。若い選手も一生懸命にハードワークして、現状を受け入れながらやっている。この先、若い選手が成長しながら進んでいけば、ワールドカップではいい結果が待っている。いまは土台になってゆく部分です。結果だけで判断してほしくない部分はもちろんありますが、最終的には、やはり、勝たなければいけないです。負けてもいいという気持ちが少しでもあれば、絶対に結果はついてこない。僕たちを厳しい目で、また、いろんな角度から見ていただけたら嬉しいです。選手たちはいつでも、どんな相手でも真剣勝負。勝ちに行く気持ちを抱いてやっていきたいです」

 次回のワールドカップは2027年にオーストラリアで開かれる。立川は「正直、そこまで考えられないです。今週の練習はかなりハードで、自分自身も追い込まれました。1日1日この1週間、このチームのためにやることが自分にとって必要なことです」と話す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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