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日本最古の珈琲店!「石臼」でゴリゴリと豆を挽いて飲むコーヒーって、どんな味?【神戸市】

Hinata J.Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

歩いているといつも気になる看板がありました。「日本最古の加琲店」放香堂。それってどれくらい古いのだろう?その真相を確かめるべく突撃取材に行って来ました。

席に座るとさっそく、明治復刻ブレンド「石臼挽きコーヒー 麟太朗 500円(税込)」というメニューを発見。店頭に置いてある石臼で豆を挽いたコーヒーなのだそうですが、これってかなり珍しいですよね。

さっきからゴリゴリという音が聞こえてくるのですが、まさにそれが石臼で豆を挽いている音なのだとか。「次に豆を挽く時は教えてください、ぜひ見てみたいです」とお願いすると「豆、挽いてみますか?」との答えが。

おお、そんな素敵なサービスが。ぜひやりますと石臼の前でスタンバイし、石臼の上部に豆を入れるのを眺めながら待ちます。石臼の持ち手を時計と反対回りにゆっくりと回すと結構重たくて、スローなスピードで豆が潰れていきます。荒目の粒が臼の下から出てきました。

お店が忙しくない時は、お願いするとこうやって挽く体験もできるのだとか。外国人の方も喜んでやるそうですよ。ここの豆がちゃんと挽けるように、オリジナルで作ってもらった石臼だそうです。

そう、珍しいことに石臼挽きコーヒー 麟太朗の豆は「インド産」。これは、明治時代にインドからコーヒー豆を仕入れていたことに由来しているのですが、その話は後ほど。まずは淹れたてのコーヒーを味わいます。

ポットと共に運ばれてきた石臼挽きコーヒー 麟太朗。プラス110円で約2杯分のポットサイズに変更可能なんです、かなりお得ですよね。(ポットサイズのシェアや、途中からのポットサイズへの変更は不可です)

ひと口飲むと、香ばしさがフワリとやってきました。風味が暫く残るのは、フレンチプレスで蒸しているからでしょうか。昔は煮出していたそうですよ、コーヒーに歴史ありです。

このコーヒーと合うのが「厚切りデニッシュトースト320 円(税込)」。トッピングに「濃厚バニラアイス150円(税込)」と「十勝産あずき100%あんこ200円(税込)」を贅沢に合わせてみました。

食べ方に決まりはなく自由だそうですが、私はバターをパンに塗り、あずきとアイスをゆっくりと混ぜ、デニッシュをナイフとフォークで裂きながら絡ませて食べました。

アイスのクリーミーさとあんこの甘みが程よく一体となって、デニッシュのサクッと感と一緒に食べるとまるで新感覚のスイーツです。これに少しクセのある石臼挽きコーヒーとが、引き立て合う感じでベストマッチ。

満腹感に満たされながら、さっき店長さんに伺った遠い昔の話に思いを馳せます。元々は江戸時代から京都の畑でお茶を作っていた放香堂。明治から元町の現在の場所で店を構えていました。ちょうど神戸港開港の頃だそうです。

お茶の輸出で船はインドに行き、帰りに空いた茶壺にコーヒー豆をつめて持ち帰ってきたのが始まりなのだとか。その頃に「日本初の珈琲を提供する店」として放香堂が出した新聞広告があるのですが、それが日本最古の証として飾られていました。

その後、戦争などで輸入が一度途絶えたコーヒー豆なのですが、周りからの再開の声を受けて「復刻版」として生まれたのが石臼挽きコーヒーの麟太朗。

挽いた豆が均一にならないのが石臼挽きの特徴、故に味も固定化されていません。そんなゆとりのある味を楽しみと捉えて、コップの底に残る粉が描くアートを愛しんで眺めるひととき。

歴史ある石臼挽きコーヒー。古き良き面影を感じさせるノスタルジックなコーヒーを飲みながら、150年の時の流れに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

放香堂加琲

放香堂加琲HP (外部リンク)
営業時間:9時〜18時(LO.17時30分)
定休日:不定休
住所:神戸市中央区元町通3-10-6
TEL : 078-321-5454
※取材では放香堂様の協力により、コーヒーとトーストを無償で提供いただきました。本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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