国際リーグのスーパーラグビーに日本から加わるサンウルブズは、発足2年目のシーズンを2勝13敗で終えた。初年度から携わる田邉淳アシスタントコーチが振り返った。

今季は選手を入れ替えながら、戦術やスキルを落とし込んだ。

南アフリカ遠征中の第15節はライオンズに7－94で屈するなど苦戦も強いられたが、7月15日の最終節は東京・秩父宮ラグビー場でブルーズを48―21で撃破。日本代表にも入閣する田邉コーチは、この現状をどう見るのだろうか。

ミックスゾーンでの共同取材を通し、実感を明かす。

以下、一問一答の一部（編集箇所あり）。

――始動は開幕の約1か月前で、シーズン中は日本代表の意向でメンバーを頻繁に入れ替えました。苦労は。

「選手には最初に集まった段階で『こういうラグビーをします』と伝えていた。ですので休んで途中から合流した選手にも全く新しいことをさせたというイメージはなく、それぞれの飲み込みも早かった。もともとわかっていたことでもありましたので、私自身、『…』ということはありませんでした。ただ、長く離れていた選手に試合勘がなかったことがあったのも事実です。怪我の発生によって、本来、休ませる予定だった選手を呼ばざるを得なくなるケースもあった。怪我は、他のチームよりも多かった。去年からスーパーラグビーを経験していた選手とそうでない選手にギャップもあって、それが証明されたのが遠征に行って最初にやった試合（大敗や思わぬ黒星があった）。それぞれの遠征では2試合目以降にどんどんよくなっていった」

――日本代表とのコラボレーションの度合いは。

「共同作業でやって来られたのはプラスになったと思います。日本代表のセレクションにあたって、選手のマインドセット、フィジカルなどを（実践を通して）見極められたのは素晴らしかった」

――解散後は。

「個々のタックル練習は日々できると、コーチ側から促すつもりです。システムは各所属チームによって変わりますが、タックルテクニックはどこへ行っても同じ。それをやった選手は11月の日本代表メンバーにも、来年のサンウルブズにも選ばれていくだろうと思います」

――国内外でシーズンは休みなく続きます。このなかで、じっくりと身体を鍛える期間は設けづらそうですが…。

「（その問題を解消する）ひとつの方法は、（国内の）トップリーグのストラクチャーを変えること。ただ、それはなかなか難しい。であれば、トップリーグの期間中にミニキャンプを何度かおこなうのを理解してもらう方向に行くのがいいと思います。そのあたり、ジェイミー（・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ）、フィロ（・ティアティア、サンウルブズヘッドコーチ）には提案しています」

――改めて、今季の戦いをどう今後に繋げますか。

「勝った2つの試合をもう一度、分析する。（日本代表が多用する）キックについて、判断がよかったものを見る。それをもっと発揮できるようにすれば、11月の日本代表ツアーに活かせると思います。（新加入の）松橋周平などの有望株も出ましたし、長い目で見ていただければ今季は有意義な1年でした」

サンウルブズでは今季、日々のセッションプランの立案に注力。学生時代からの留学経験も活かし、多国籍集団の潤滑油を全うした。

シーズン終了後は、ニュージーランドのサウスランド州代表に参画。同国の州代表選手権に、コーチとして挑む。

知見を広めた先に見据えるのは、2019年のワールドカップ日本大会だろう。