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つまようじ異物混入、万引き、逃亡ユーチューバー少年の先にあるもの

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

【追記:2015/01/18 少年は逮捕されました】

18日朝、少年とみられる人物が名古屋から京都方面に向かう電車に乗っているという情報が寄せられたため、警視庁が周辺の警察に連絡したところ、18日午前7時半すぎ、滋賀県のJR米原駅に止まっていた電車の中で、よく似た少年を地元の警察が見つけ、本人であることを認めたため、逮捕したということです。

出典:“商品につまようじ”動画投稿 少年逮捕

ついに警察は、異物混入や万引き映像を繰り返し、アップロードしている19歳の少年に対して逮捕状を取った。

スーパーのお菓子に、つまようじを混入させるなど悪質な動画が相次いで投稿されている問題で、警視庁は15日、東京都内に住む19歳の少年の逮捕状を取った。

少年は逃走中で、その間も投稿を繰り返している。

出典:食品異物混入動画 少年、時間軸がバラバラの状態で投稿か

最初は単なるイタズラ映像の投稿。次第に万引きの現行犯の映像もアップしはじめエスカレートしてきている。しかし逮捕状が、取られた以上、逃亡は犯罪行為となってしまった。

19歳の逃亡しながらの映像投稿はまだYouTubeで公開され続けている。

https://www.youtube.com/channel/UCSFmFx2XiqVU1a0DJ_lHxzQ

警察が捜査で動いているのにも関わらず、このような映像が公開され続けている。通常、すぐに映像は閉鎖されるだろう。ん?YouTubeと連絡がつかないのか? いや、19歳の少年と特定出来ているのだから、YouTube側から情報が提供され、個人が特定されているから19歳の少年と判断しているのだろう。

問題は、そこから先の情報だ。

しかし、4時間前に 「全力逃走中w3」の映像が上げられていることを考えると、捜査の手がかりをつかむために泳がせているのかもしれない。

少年は、自分の居所を名乗り、「超余裕!」などと流行語大賞を狙うとうそぶく。

また、ヤフーニュースで自分への逮捕状が取られたことをスマホで知っての逃走映像コメントとなっている。この情報を知った時点で、自首すべきだ。

少年は、「少年法に対しての抗議のための逃走」だという。

警察に対しての果敢な挑戦

警察に捕まることも覚悟しながら、警察を挑発するというスタイルとなってしまった。何よりも、逃走している少年のPOV(Point of View Shot 主観ショット)による映像はショックである。

もしも、このニュースを見る機会があれば、すぐに自首すべきだ。逃走罪の罪状を重ねる必要はない。

(追記:※逮捕状がでてからは、「自首」とはいわない。拘禁されていない人は「逃走罪」にも問われないそうだ。つまり、逃げ通せたら逃げ得となってしまうのだろうか?)

まるでかつての酒鬼薔薇事件の警察への挑発のようにも見える。

彼の言い分はこれだ…。

自分が少年院で更正できなかった理由を述べている。ずいぶんと自分勝手な理由だが…本人にとっては納得がいかなかったのだろう。

警察は何がなんでも、メンツにかけて捕まえることだろう。その間、この逃亡動画というのがアップロードされ続けられるのだろう。第二第三の模倣犯を生む可能性もある。

たとえ、YouTubeのアカウントが閉じられたとしても、電子メールアドレスと自分で設定したパスワードさえあれば、誰もがすぐに再開することができてしまう。携帯電話の二重認証も同様のことだ。

このような事件性のあることに利用され始めると、運転免許証のような本人の住所確認が必要になってもおかしくない。もしかすると、SNSに関する法案も提起される可能性も出てくるだろう。

犯罪もSNSによってさらに劇場型に進化しつつある。まさか逃亡犯をフォローできる時代になるとは思わなかった。テロやアルカイダから軽犯罪に至るまで、いろんな立場の人でも、表現の自由が担保されているのは、果たして、本当に良い状態なのか疑問に思えてきた。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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