思わず頷く甘酸っぱい組み合わせの「水まんじゅう」八丁堀の老舗で出会う、もちもち食感のひんやり和菓子
さらさらと喉元を潤してくれるようなかき氷についつい惹かれてしまったり、はたまた乳製品と氷、エスプレッソなどをあわせたシェイクのような飲み物を選びがちだったり。けれども、やはり和菓子好きとしてはもちもちとした食感やある程度食べ応えのある和菓子も恋しい。
さて、皆さんは水まんじゅうという和菓子をご存知でしょうか?上質な水源に富んだ岐阜県大垣市の郷土銘菓でもありますが、この季節になると夏の生菓子のひとつとして店頭に並ぶことも増えます。葛粉やわらび粉をあわせた生地の食感のファンも多い和菓子。
今回は、東京都中央区、いたるところに江戸の歴史が色濃く点在する街、八丁堀にて115年以上の歴史を刻む老舗和菓子屋「八丁堀伊勢屋」さんの「水まんじゅう」をご紹介。
ゼリーやプリンよりも二回りほど小さな容器に閉じ込められた水饅頭。透明な容器からのぞく暁色はドライ杏子。饅頭、というだけあってあんこは…?と思いきや、シールをはがしてぱかっと蓋をあけると、目の前には絶妙な透け具合のこし餡が。
ぷるんとした軽やかな弾力と、もちっとした独特の食感の葛粉などを配合した皮はほんのり甘く、それでいて風味も香りも豊かで洗練されすぎないこし餡を下からぐぐっと支えてくれます。水まんじゅうのこし餡は、口溶けと一体感を配慮し、他のお饅頭に比べて非常に豊潤な潤いを湛えています。滑らかなのに舌先でざらりとした小豆の粒子を感じられるところも気取りすぎず温かい。
そして、一枚丸ごと沈められたドライ杏子の鮮烈な酸味がたまりません。適度に水分を吸ってシャキシャキっとした食感は思わずガッツポーズをしてしまうほど。シロップ煮ではなくドライ杏子なので、舌の両側からぎゅっと引き締めてくるような酸味も健在。初めはひんやりとしたあんこの甘さを、ラストは干し杏子の可愛らしくも主張がはっきりとした刺激で締めくくり…。
するとどうでしょう。夏太りだから控えめに和菓子、なんていっている傍からもうひとつ食べてもいいかな、と思ってしまう自分もいるのです。ちょっとランチを調整して、おやつにひとつ、お風呂上りにもうひとつ。あら、これなら罪悪感もありませんね、きっと。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<八丁堀伊勢屋>
東京都中央区八丁堀3丁目18-11
月曜~金曜 8時~18時30分(9時頃に商品が揃います)
定休日 土日祝