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楽天「最強プラン」はパートナーエリアも無制限に 注意点は?

山口健太ITジャーナリスト
楽天の人口カバー率は99.9%になるという(楽天提供資料より、筆者撮影)

5月12日、楽天モバイルが6月から始める新料金プランを発表しました。

特徴は、価格を据え置きつつ、KDDIのローミングによるパートナー回線エリアも無制限としたことです。その中身を見ながら、注意点についても解説します。

パートナー回線エリアも高速通信が無制限に

楽天モバイルは自社の基地局を全国に広げようとしていますが、まだエリアになっていない地域では、KDDIの回線に乗り入れるローミングに頼ってきました。

そのローミング料金の負担を下げるべく、これまでは自社エリアを少しでも早く拡大する方針でしたが、5月11日に発表した新協定でこれを転換。ローミングを活用する方向に舵を切っています。

KDDIとしても、楽天を一方的に助けたわけではなく、大手キャリア間で5G競争が激化する中、4Gの設備では楽天からローミング収入を得たほうがメリットが大きいと判断したようです。

これを踏まえて楽天が発表したのが「Rakuten最強プラン」です。価格はこれまでと同じ3段階で据え置きとなっており、既存の契約者は6月1日から自動的に新プランが適用されます。

新プランでも価格は据え置きとなっている(楽天モバイルのWebサイトより)
新プランでも価格は据え置きとなっている(楽天モバイルのWebサイトより)

大きな特徴としては、KDDIのローミングによるパートナー回線エリアでも、高速通信が無制限になります。

これまではパートナー回線エリアの使用量が毎月5GBを超えると最大1Mbpsに制限され、低画質の動画がなんとか再生できるレベルに落ち込んでいました。

本当に速度制限はないのでしょうか。楽天モバイルに確認したところ、「従来のプラン同様に、公平なサービスを提供するために制限を設ける場合がございます」(広報)とのこと。このあたりは始まってから実際に確かめるしかなさそうです。

もう1つ期待したいのは、ローミングが利用できるエリアの拡大です。新協定では、東京23区など都市部の屋外や、ローミングを終了する予定だった地方でも引き続き提供する予定としています。

ただ、ここで注意したいのは人口カバー率の数字です。楽天によれば、自社のエリアとパートナー回線エリアを合わせて、4Gの人口カバー率は「99.9%」になるといいます。

発表会ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクと並べて、「業界最高水準」とアピールしていました。

人口カバー率は「業界最高水準」とする(楽天モバイル提供資料より)
人口カバー率は「業界最高水準」とする(楽天モバイル提供資料より)

この人口カバー率とは、「国勢調査に用いられる約500m区画において、50%以上の場所で通信可能なエリアを基に算出」したものです。日本の国土の99.9%でつながるという意味ではありません。

KDDIはどう思っているのか聞いてみたところ、「ローミングエリアを含めた人口カバー率の数字は同じようなものでも、周波数帯やエリアの構築によって繋がりやすさに差はございます」(広報)との回答でした。

また、KDDIが楽天に提供しているのは、プラチナバンドと呼ばれる800MHz帯(バンド18/26)で、新協定においても変更はないとのこと。提供エリアのマップも公開しています。

これらの話を総合すると、楽天モバイルの使い勝手が確実に良くなることは期待できるものの、KDDIと同じネットワークを無制限に使えるようになる、というわけではなさそうです。

都市部などでのつながりやすさ向上に期待

楽天モバイルによれば、東京23区などの都市部において、建物内や地下だけでなく、「屋外」を含めてKDDIのプラチナバンドにつながるようになるといいます。

また、楽天エリアとKDDIエリアが切り替わる際に発生するハンドオーバーの挙動もさらに改善するとのこと。これらが実現すれば、たしかに「楽天モバイルとしては最強」になるかもしれません。

料金の「値上げ」がなかったこともあり、発表直後に楽天グループの株価は下げていたものの、その後は戻しているようです。

昨年の発表会では「0円廃止」で大荒れとなりましたが、この内容で料金据え置きというのは、良い意味でサプライズになったのではないでしょうか。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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