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OPBFライト級タイトル戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 7月19日に、後楽園ホールでOPBF東洋太平洋ライト級タイトルマッチが行われる。チャンピオン鈴木雅弘に、宇津木秀が挑む。

 王者の鈴木は、2021年6月に日本スーパーライト級王座に就くが返上し、一階級落としてライト級で日本一を目指した。が、2022年2月の日本王座決定戦で宇津木に9ラウンドKO負け。その後のチューンナップ試合で2連勝して、2023年10月7日にOPBFライト級王座決定戦に出場する。これはドローに終わるも、再戦で初回ノックアウトを飾ってベルトを得た。

 そして今回、同タイトルの初防衛戦として宇津木の挑戦を受ける。リベンジに燃えている筈だ。宇津木もまた、3度目の防衛戦で仲里周磨にKO負けし、王座から転落した。

撮影:筆者
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 鈴木と宇津木は1歳違いで、アマだった大学時代に3戦し、年上である宇津木の2勝1敗。このほど、挑戦者として鈴木と対峙する宇津木は語る。

 「死に物狂いでくるでしょうね。僕に負けて再起し、東洋王座を獲得した。人間として凄く格好いいなと思います。

 前回、勝ちましたが余裕は無いですよ。仲里選手に負けたのは、あの試合を『通過点だ』と捉えていた自分がいて、油断したなと反省しています。そういう心の隙が、結果に繋がったのでしょう。どんな立場であっても、チャレンジャーとしてリングに上がらなければいけないことを学習しました」

撮影:筆者
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 宇津木を指導する小林尚睦トレーナーも言う。

 「秀は負けてからレベルアップしたと思いますね。特にディフェンス面が。『もらわずに打つ』ことをテーマに練習してきました。鈴木くんは序盤から出てくるでしょう。秀はスロースターターだった自分を払拭し、それでいて慌てずに戦うことが身に付いたと思います。今回も9ラウンドくらいで倒せると、僕は見ています」

 負けを経験したことで、宇津木は伸びたと小林は力説した。

撮影:筆者
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 宇津木もまた話した。

 「毎日、ジムに入る時から、一秒一秒を無駄にしてはいけないんだと、自分に言い聞かせながらボクシングに向かえるようになりました。たとえコンディションが悪い日でも、それはそれで受け止めてやるべきことをしっかりやる。メンタル面が充実しています。

 ディフェンス面も、手や肩を上手く使ってクリーンヒットされないように心掛けるようになりました。自分の打たれ弱さを把握していますから。今回はいい意味で集中力が切れませんね。鈴木くんは、前回よりも格段に強くなっているでしょう。でも、彼がやり難いような展開にもっていきます。全ての面で捻じ伏せる戦いをやりますよ」

 生き残りをかけたOPBFライト級タイトルマッチ。見逃せない一戦となりそうだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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