危険がいっぱい、ネット社会。どうすりゃいいの?!
昨年1年間で、SNSに関係して犯罪に巻き込まれた青少年の被害者は1,400人を超え、過去最多となった事が発表されました。そのほとんどがスマホを使っている事も明らかになりました。特に、上記の記事の中で、『被害者が交流サイトを利用する際に注意や指導を受けていたか調べたところ、学校では全体の67%の子どもが指導を受けたことがあると回答しましたが、家庭では半数以上の53%が保護者から注意を受けたことがないと答えていました。』とあります。家庭での指導が大事との指摘でしょうが、逆に「67%も学校で指導されて、しかもさらに家庭でも47%が注意されている」にも関わらず、やはり犯罪に巻き込まれているということになります。では、どうすればよいのでしょうか。
これを守ればすべて解決というような具体策はないのです。結局、家庭で話し合うことということになってしまいます。「適切に利用させる」、「ルールを作る」といっても多くの人はわからないでしょう。家庭で話し合う事を強く勧める理由は、ルールを作ったりするためだけではなく、万が一に犯罪に犯罪に巻き込まれそうになったり、犯罪とまではいかなくともトラブルに巻き込まれそうになった際に、すぐに相談できることが大事なのです。
一番に憂慮することは、理解できない事からの排除です。適切な利用法やルールがわからないからといって、禁止させたり、過度な規制をしては反発を被る事にもなり得ます。危険を回避することは重要ですが、危険を恐れるあまり、一切危険に向き合わないのであれば、いつまで経っても、その便利さの恩恵にあずかることなく、そればかりか、様々な人との関係、つまりコミュニケーションに取り残され、孤立する事になるかもしれません。特に子どもは、この便利な道具を使いこなせるようにならなければ、大人になってからの仕事に大きく差し支える事になります。子どもに使い方を教えるためにも、まず大人が率先して、その危険性を乗り越える使い方を身につけなければならないのです。
では、注意深く操作する、適切な利用法を教えるという抽象的な対策以外に、どのような具体的な対策があるのでしょうか。それはリスクマネージメントという考え方です。従来のセキュリティ対策は危険な目に合わないようにする為の対策でした。必要のないリンクをクリックしないということは、そのリンクの先に悪意のあるサイトがあり、クリックすることでマルウェアに感染したり、詐欺に遭うことを避ける為の処置だったのです。つまり危険を回避する手法です。子どもたちにも危険な場所には行かせない、つまりネットで言えば、危険なサイトやアプリは使わないという対策です。リスクマネージメントとは、危険に遭うことを前提に行う対策です。もし被害に遭ったとしても、それをできるだけ、許容できる小さな被害に押さえる対策です。最近では、ネットバンクの不正送金問題対策にも推奨されています。つまり、マルウェア(コンピュータウイルス)に感染しない、不用意に口座番号やパスワードを入力しないという予防策には限界が認識されるようになりました。ネットバンクを利用する限り、その不安から解放されません。しかし利用しなければ被害を受ける事はありません。この中間の方法を取るのです。つまり、不正送金される可能性が少しでもあるネットバンクには、送金されてしまっても大きな被害を受けない数万円から十万円程度しか口座に入れず、他のお金はネットでは引き出せない口座に入れるのです。利用する額が大きければ、ネットバンクの口座を複数持つことも効果的です。ネットバンクの利用以外でも、万が一に被害を受けたときのことを考えて、出来る限りそれを最小化することを考えるのです。これがリスクマネージメント、つまり危機管理という考え方です。
子どもたちへの対策も数々な予防策が考えられます。それをすべて完全に守られる事は難しいでしょうし、守れたとしてもまったく被害に遭わないという保証はありません。もし、被害に遭いそうになっても未然に防ぐ、あるいは最小限の被害でするための方法が、リスクマネージメントとなり得る。日頃から相談できる関係を築いておく事です。そのためにもスマホやネットについて日頃から話し合う、それが無理ならば定期的にでも子どもから便利な使い方等を教わることでしょう。