大人も元気になれる赤ちゃんの読み聞かせ絵本【保育士書店員が選ぶ絵本】0歳からの自己肯定感アップに

「0歳からの自己肯定感なんて」と正直、タイトルに違和感を感じた方もいらっしゃるかもしれません。そして「0歳に絵本は早いだろう」と思われる方も少なくないでしょう。
その反対に、自治体が乳幼児検診の際に絵本を配布する『ブックスタート』などをきっかけに、できるだけ早い時期から「絵本の読み聞かせをしなければ」とプレッシャーを感じているママ、パパもおられることでしょう。
わたしは決して早期教育の信奉者ではありません。また、自分が書店員だからということを抜きにしても、赤ちゃんのうちから絵本にふれることは良いことだと考えています。
そして書店員として「赤ちゃんと大人が一緒に読む絵本には、どんな本が良いでしょうか」と聞かれたら、まず読み手の大人が、明るく前向きな気持ちになれる絵本をおすすめしています。
赤ちゃん絵本の特徴
本屋に行って書棚を眺めてみると、0歳児向けの絵本は意外と多く並んでおり、どれを選んでいいのか悩んでしまいます。
赤ちゃん向け絵本の特徴は、まだ視覚が発達していないことに配慮して、色や形がはっきりしていることが挙げられます。大人から見ると、ちょっと目がチカチカするくらいのほうが、赤ちゃんには認識しやすいようです。
また、顔が書いてあるものに、赤ちゃんの注目がいきやすいといわれていることから、丸や三角などの形、コップやスプーンなどの物にも、顔が描かれている絵本が多いのも特徴です。
本屋には、このような赤ちゃんの反応を引き出すための特徴が”てんこ盛り”の絵本が、まさに書棚に”てんこ盛り”の状態です。
ただ、人生のスタートにあたって、赤ちゃんに対する大人の思いにまで踏み込んだ絵本は、まだ少ないように感じます。
みんな とぶよ!
いしかわこうじ 作・絵
童心社
今日ご紹介する絵本は、いしかわこうじさんの『みんな とぶよ!(童心社)』(出版社リンク)です。
動画では、ハトの仕掛けの動く様子(1:40あたりから)や、読み聞かせのポイントなどを詳しく説明しています。
『みんな とぶよ!』は誕生、成長、飛躍をテーマとした絵本シリーズの第3巻で、新しい命が生まれ、ぐんぐんと育ち、羽ばたいていく3部作の締めくくりの一冊です。
いしかわこうじさんがお得意の、2段階で開く大きな仕掛けによって、てんとう虫・ハト・とびうお・気球・飛行機・ロケットが、つぎつぎと空に向かって飛び立つ様子がダイナミックに表現されています。
リビング書店に石川テレビの取材があったときにも、『みんな とぶよ!』のハトの仕掛けを開くシーンが紹介されました(3:12あたりから)。
『明るく前向きな気持ち』になれる絵本
特に、初めて親になるママ、パパにとって、赤ちゃんへの読み聞かせには、頭を抱える方も多いでしょう。
そんなときは、まず自分が『明るく前向きな気持ち』になれる絵本を選んでみてはいかがでしょうか。
せっかくの親子の絵本タイムが、「読み聞かせをしなければ」というプレッシャーに押し潰される時間になってしまっては、もったいないですからね。
いしかわこうじさんの仕掛け絵本3部作は、命の誕生と成長を喜び、飛躍を願う素直な親の気持ちを伝えるのにぴったりの絵本です。
「生まれてきてくれてありがとう!あなたは、わたしたちにとってかけがえのない命」
そんな親としての思いが、きっと赤ちゃんにも伝わるでしょう。
絵本タイムに生まれる親子の気持ちのつながりが、きっと赤ちゃんのこれからの成長過程で、自己肯定感の向上につながっていくと、わたしは信じています。