「今週末、どこ行く?」 【ひとり温泉】で快適に過ごすポイントは≪欠かせないモノ≫≪ごはんのリサーチ≫
おいしいさーーごはん情報は移動中にWebリサーチくらい
1泊2日の旅なら食事は4回~5回。旅館に宿泊する場合は夕食と朝食の2回分は決められているから、残り2回か3回。どこで食べるかは慎重になる。
お昼ご飯の候補の店、宿で食事を摂らない場合の夕食の店などは、移動中にWebで数件をリストアップした上で、現地に入り、店を決めていく。
情報収集するのは、宿の人、お土産物屋さん、共同湯で出会った人。旅先で出会う人に尋ねると、その土地の素顔が見えてくる。鼻をきかせるのが重要だ。
宿で夕食をつけず、地元のス―パーに寄り、土地の食を購入し、部屋でしっぽりひとり酒も、実に愉快である。
ひとり温泉 私の9つの持ち物
いつもの旅のスタイルは、大きめのキャリーバッグに全てを詰めて、貴重品は肩からたすき掛けにしたバッグに収納。1泊で、中がガラガラでもキャリーバッグを使う。理由は後で述べよう。
【文庫と地図】
持参する文庫は2冊くらい。
目的地周辺を取り上げている本、例えば司馬遼太郎の『街道をゆく』(朝日文庫)は行きに読み、他には読み切れる短いエッセイ集をよく持参する。好みで言えば幸田文、向田邦子、高峰秀子、武田百合子。さらには何でももりもりと食べたくなる平松洋子さんの珠玉の食エッセイ。美味佳肴を求める旅を描いた宇能鴻一郎『味な旅 舌の旅』(中公文庫)に影響されて、「食」の旅に出たことが何度かあるが、旅先で読むのもおすすめ。
もうひとつ必要なのは地図だ。バスやローカル線で移動中に地図を広げて、行く先々に想いを馳せる。アナログだと思われそうだが、それはあえて。豊かな旅へと彩っていくためには土地に想いを馳せる道具が必要なのだ。
【レターセット】
レターセットの中身は、季節にあわせたハガキと切手と使い慣れたサインペン。ハガキは春先なら桜やつくし、梅雨は紫陽花、盛夏なら風鈴やかき氷やスイカ、秋なら紅葉やきのこ,冬なら牡丹や鍋。絵のないシンプルな物も用意している。
全国各地の郵便局には、その地域の名所旧跡を描いた風景印という消印がある。旅先で風景印を用意している郵便局へ立ち寄ることができれば、それを押してもらってハガキを出すことも。
【手ぬぐい】
私は手ぬぐい好きだ。速乾性に優れた日本手ぬぐいは、温泉巡りに便利この上ない。次の温泉への移動中にバッグの上に載せておくだけで乾いてしまう。
手ぬぐいには四季それぞれの柄があるので、春には桜、秋には紅葉など、季節に合わせて楽しむのもちょっと気分が上がる。
海外に行く時のお土産は日本手ぬぐいと決めているが、とても喜ばれる。
【ハッカ油やアロマオイル】
スプレー式のハッカ油の小瓶を持ち歩く。飛行機や新幹線はとても乾燥しているからマスクをつけるが、マスクにひとかけ。ミントの香りは酔い止めになるのだ。
アロマオイルは元気を出したい時には、オレンジやグレープフルーツ、レモンなど柑橘系の香りのものを、心を落ち着かせたい、安眠したい時などはラベンダーを使う。ミントとレモングラスの香りは虫除けにもなるため、山のいで湯に行く時は洋服に香らせたりもする。
【ミニ(エコ)バッグ】
キャリーバッグの中には、必ずナイロントートやエコバッグを忍ばせる。
近年、温泉土産に土地の野菜を購入することが多い。朝市や道の駅などに行くと、朝採れの品や土地の人が食べるおやつなどが並ぶ。これらを買い込み、エコバッグに入れてキャリーバッグに収納する。
【保湿クリーム】
荷物をコンパクトにするため、シャンプーやリンスは宿の風呂に常備されているものを使う。
髪のトリートメントとスキンケア商品はミニボトルで持参する。
入浴後は肌が乾燥しがちになるので、保湿成分たっぷりのボディクリームは必ず持ち歩く。
【軽くコンパクトな布モノ】
心が華やぐ小物や自分の好きな柄の小さな風呂敷を持ち歩く。京都で購入した小風呂敷きは、お風呂に行くときの下着入れとして重宝する。浴衣に下駄姿で湯巡りする時は小風呂敷を抱えていると、気分が上がる。
あるいは好きな柄の大判のストールを代用したりもする。ストールならちょっと肌寒い時や冷房除けに、カーディガンがわりに羽織れる。
軽くコンパクトな布モノは重宝する。
※この記事は2024年9月6日に発売された自著『ひとり温泉 おいしいごはん』(河出文庫)から抜粋し転載しています。