【コーヒーの歴史】ヨーロッパから広がるコーヒーの苗木!―海を越えた移植とプランテーションの繁栄―
17世紀、ヨーロッパ商人たちはコーヒー貿易の利益を求め、ついに自国での栽培に乗り出しました。
オランダ東インド会社は1658年、セイロン島やジャワ島で栽培を開始し、バタヴィアに広大なプランテーションを設けたのです。
ジャワで育てられた苗木はアムステルダムに届けられ、その種子が新たな土地へと伝播していきました。
18世紀にはフランスもこの動きに加わり、1714年、ジャワのコーヒーノキがパリの王立植物園に寄贈されます。
さらに、マルティニーク島の軍人ガブリエル・マテュー・ドゥ・クリューが、この貴重な苗木を西インド諸島へ運ぶことに成功しました。
この移植は、暴風雨や海賊の危険を乗り越えた壮大な航海として語り継がれています。
ブルボン島(現レユニオン島)では1715年にモカの苗木が栽培され、後にブルボン種と呼ばれるコーヒーが生まれました。
この島で生産されたブルボン種は南アメリカに広がり、世界中のコーヒープランテーションの基盤となったのです。
やがて、西インド諸島や南米で栽培された安価なコーヒーが、イエメン産の高価なモカコーヒーに取って代わるようになり、世界市場の中心に躍り出ました。
こうして、ヨーロッパ各国が始めたコーヒー栽培は、新たな品種と市場を生み出しながら、世界に広がっていったのでございます。
参考文献
マーク・ペンダーグラスト著、樋口幸子訳(2002)『コーヒーの歴史』河出書房新社