メジャーの年俸が日本プロ野球の5倍に!?広がる球界の日米格差を考える
メジャーリーグ機構(MLB)と選手会が新労使協定の締結で合意し、メジャーは4月7日(日本時間同8日)に開幕し、レギュラーシーズンを162試合制で行うことが決まった。これでキャンプが始まり、移籍市場も再開。日本のファンにとって喜ばしい面もあるが、日米の球界格差がまた広がっていくことへの懸念はないだろうか。
労使交渉の決着と同時に移籍市場の〝号砲〟がなった。早くもマリナーズからフリーエージェント(FA)になっていた菊池雄星投手が、ブルージェイズと3年総額3600万ドル(約42億円)で合意したという報道を目にした。菊池投手はメジャー3年目の昨季は7勝9敗、防御率4・41。ブルージェイズでは先発4、5番手と予想されているが、年俸の総額は、日本球界なら各球団のエースでも届かない金額だろう。
メジャーは新協定で22年の年俸最低保証額が70万ドル(約8100万円)と21年より日本円ベースで約1400万円アップした。5年間は毎年2万ドルずつ増え、26年には78万ドル(約9000万円)になるという。日本の1軍最低年俸は1600万円で、選手会が発表した2021年度の年俸調査では12球団の支配下選手(外国人選手を除く)の平均年俸は4174万円だった。
今回の労使交渉では、メジャーの選手会は強硬姿勢で挑み、一方の機構側もタフな交渉で譲らない。交渉はなかなか進展せず、選手の調整は遅れ、オープン戦も延期された。長引く交渉に「ファン離れ」もささやかれた。ただ、妥結後は機構側もさらなる収益アップに本腰を入れていくはずだ。新協定ではプレーオフ進出チームが従来の10→12へ増えた。収益を上げないと、オーナーも選手も旨味はない。そんなMLBの放映権料は莫大だ。
日本球界はどうだろうか。メジャーとの待遇差が広がるばかり。もちろん、お金だけではないが、プロとしての評価には間違いなく年俸が存在する。かつては、日本のレギュラークラスが「夢」を優先してメジャーに挑戦するときには、待遇が悪くなることも覚悟する風潮だったが、メジャーの待遇アップでそうした事情も解消されてきた。日本球界も収益面で停滞してはいられない。
「メジャーが162試合制で開幕して良かった」と思うのはファン目線。広がる格差をどう埋めるか。日本球界は海の向こうで熾烈を極めた「労使交渉」をただ眺めていてはいけないと思うのだが、どうだろうか。