なぜバルサはB・シウバを“確保”しようとしているのか?メッシの獲得失敗と10番タイプを求めるシャビ。
チームを強化するため、足を止めてはいけない。
バルセロナは今夏、イルカイ・ギュンドアンとイニゴ・マルティネスの獲得を決めている。だが2023−24シーズンに向けて、更なる補強を検討している。
「監督からの要望で、右サイドバックの選手と中盤の2選手を探している。選択肢はいくつかある」
「我々がすべきは、楽しむことだ。我々は再びリーガエスパニョーラで優勝を争う。加えて、それ以上を望んでいる。ヨーロッパの舞台でタイトルを狙い、チャンピオンズリーグで優勝したい」
これはジョアン・ラポルタ会長の言葉だ。
■メッシの復帰と補強プラン
バルセロナはこの夏、リオネル・メッシの復帰を考慮していた。しかしながら、最終的にはメッシが重圧が掛からない場所でのプレーを希望して、インテル・マイアミ移籍が決定した。
メッシの復帰を待望していたのはシャビ・エルナンデス監督だ。シャビ監督は、アタッキングサードで違いをつくれて、なおかつゲームメイクできるような選手を欲していた。そこにメッシを嵌める、というのが指揮官の描いていた青写真だった。
メッシの再獲得には至らなかった。だがシャビ監督は当初のプランを諦めてはいない。
■ラストパスの出し手を求めて
そこで、現在、バルセロナが狙っているのが、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)である。
先日、「自分の未来についてはまだ分からない。誠実に決断を下すつもりだ。今後、明らかになると思う」と語っていたように、B・シウバの去就は定かではない。
B・シウバの代理人はジョルジュ・メンデス氏だ。アンス・ファティらの代理人でもあり、ラポルタ会長との関係性も深い。シャビ監督は第一のプライオリティをB・シウバの獲得に置いており、バルセロナは補強の可能性を探り続けている。
ただ、シティはすでにギュンドアンがバルセロナに移籍している。なおかつ、リャド・マフレズがサウジアラビアに移籍する可能性がある。アル・アハリが、マフレズにビッグオファーを準備している。シティとしては、ギュンドアン、マフレズ、B・シウバと主力が3人抜けるのは避けたいところだ。
また、シティはB・シウバを安売りするつもりはない。移籍金8000万ユーロ(約120億円)以上を要求すると見られている。加えて、B・シウバの年俸780万ポンド(約14億円/推定)を負担する必要がある。バルセロナにとって、簡単な取引ではない。
そのような状況で、バルセロナに“プランB”がないわけではない。候補に挙げられているのはジオバニ・ロ・チェルソ(トッテナム)である。
バルセロナとトッテナムの関係は良好だ。この夏、ジョアン・ガンペール杯での対戦が決まっている。また、昨季、クレメント・ラングレがトッテナムにレンタル移籍していた。トッテナムがラングレの完全移籍を望んだ場合、ロ・チェルソ獲得のオペレーションに含まれる可能性がある。
■四人の中盤の行方
バルセロナは昨季、リーガエスパニョーラで優勝を果たした。その要因として、堅い守備、そしてシャビ監督の“四人の中盤”の戦術があった。
シャビ監督はガビを偽ウィングに配置して、セルヒオ・ブスケッツ、フレンキー・デ・ヨング、ペドリ・ゴンサレスと共存させた。以前、その布陣について問われたシャビ監督はこのように答えている。
「それはオーガナイズを整えるためだった。システムチェンジを行いたかったわけではない。中盤に4選手を配置したかった。オーガナイズを整え、ボールを失わないようにしたかった。攻撃から守備、あるいは守備から攻撃へというトランジションを少なくしたかった」
「私は現役時代、中盤の選手だった。フットボールにおいて、オーガナイズがなければ、また明確なストラクチャーがなければ、トランジションで走れる選手がいないことになる。なので、私は中盤に4人を置いて、チームに落ち着きがもたらされるようにした。あれはシーズンのキーポイントになったと思う」
中盤の2選手を獲得するという冒頭のラポルタ会長の言葉があったが、バルセロナはブスケッツが昨季限りで退団した。その代役が必要で、こちらはカンテラ出身のオリオル・ロメウ(ジローナ)の獲得が濃厚になっている。
そうなると、もう一人――という話だが、そこにB・シウバあるいはロ・チェルソを当て嵌めたいというのがシャビ監督の狙いだ。他方で、移籍市場が開いている間、思わぬマーケットの機会が出現するかもしれない。再び欧州の舞台で輝くため、スペイン王者は働き続ける。