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11月のFOMCでは0.25%の利下げか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 4日に発表された9月の米雇用統計は非農業雇用者数が前月比25万4000人増と市場予想の15万人増程度を大きく上回った。過去2か月分の増加幅はそれぞれ上方修正。失業率は4.1%と8月の4.2%から低下し、平均時給の伸びも市場予想を上回った。

 これを受けて11月の利下げ幅は0.5%ではなく0.25%かとの見方が強まり、4日の米10年債利回りは一時3.98%に上昇した。この米長期金利の上昇もあって、ドル円は一時は149円台に上昇してきた。

 米短期金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」では、FRBが11月に0.5%の利下げを決める確率は前日の32.1%から4日夕時点でゼロに切り下がった。一方、0.25%の利下げの確率は前日の67.9%から90%台後半に上昇した(5日付日本経済新聞)。

 30日にパウエルFRB議長は30日、ナッシュビルで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次会合で講演。「この先、経済がおおむね想定通りに進展すれば、政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」と語った。ただ「われわれはあらかじめ定まった道を進んでいるのではない」とも指摘。

 委員会は利下げを急いでいるわけではないとも発言した上で、ドットチャートは、年内はあと2回、合わせて0.5%の利下げを意味するともコメントしていた。このコメントが実は気になっていた。

 「ドットチャートは」と断った上で、11月と12月に「合わせて」0.5%の利下げ、つまりこれはそれぞれ0.25%ずつの利下げを意味するものと捉えられる。

 市場では雇用統計発表前は11月のFOMCでも0.5%の利下げを決定するとの見方が多かった。しかし実はすでにパウエル議長からは0.25%の可能性が示唆されていたとも捉えることができるのではなかろうか。


金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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