秋田県内の廃墟や廃村を紹介？ガイドブックには載っていないディープスポットを指南する『全自動さじなげ委員会』とは？

皆さんは『全自動さじなげ委員会』をご存じだろうか。

そう、秋田県内の廃墟や廃村などを中心に、ガイドブックには載っていないディープスポットを紹介している団体だ。人々の記憶から遠ざかり、亡霊と化した秋田の歴史。そこからは私たちが住む町の真実と奥深さが見えてくる（かもしれない）。

そんな『さじなげ委員会』による廃校写真展が「スーパーセンタートラスト雄物川店」の、旧ゲーセンエリアで開催中だ。夏休みのちびっ子がモリモリうどんを啜るフードコートからチラ見えする、学び舎の歴史。その注目度は高く、私が訪れたときも多くの方がスーパーの袋を手に、写真に目をやっていた。

訪れる方の記憶が写真展をブラッシュアップ？子供から大人まで楽しめる『廃校入学式』とは？

会場には横手市内を中心に、秋田県内の元校舎やその跡地の写真が、約120枚展示されている。中には自治体から提供されたものもあるが、その多くの写真は委員会の方が自ら現場に赴き撮影したものだという。

秋田県内では、1970年代以降の人口減少と共に閉校が増加。歯止めの効かない少子化の影響で、学びの場は今も減少の一途を辿っているが、令和現在のその姿はさまざまだ。

すでに取り壊されたもの。公共施設に転用され、地元で憩いの場となっているもの。そして草木に覆われ、廃墟と化しているもの。それぞれの写真から、卒業していった校舎たちの、たしかな息づかいが聞こえてくる。

廃校写真を眺めていると、所々にメモ書きが貼られていることに気づく。コレは写真展に訪れた方のお話やアンケートを参考に、委員会の方が追加で注釈を加えているのだという。訪れる方の記憶やウンチクが、写真展をブラッシュアップさせる構図が面白い。ちなみにアンケートに答えた方は、さじなげ委員会のステッカーが貰えるそうだ。

10年前の2014年頃から廃墟訪問を始め、その後秋田の廃墟情報を網羅するWEBサイトを立ち上げた『全自動さじなげ委員会』。実は私も数年前からこっそりとサイトを覗いており、掲載されていた廃墟や珍スポットを実際に巡ったことがある。

他のメディアは触れない秋田のリアルガチ。数年前や数十年前には、たしかに響いていたはずの誰かの声。その一端が垣間見える貴重な写真展『廃校入学式』は、8月18日まで開催予定だ。