大阪桐蔭「前田抜き」で負けちゃったけれど… 大型左腕に代役主将の1番打者ら、新戦力が続々登場!
センバツ連覇を逃した大阪桐蔭は、チームスタート時からの課題だった「前田頼み」からの脱却を図り、西谷浩一監督(53)は、敢えて大エースの前田悠伍(3年=主将)をメンバーから外して大阪大会を戦った。決勝では金光大阪に1-2で惜敗し、3年ぶりに府内の公式戦で土がついたが、新戦力の台頭は夏に向けて明るい材料になる。
「代役主将」が1番打者でブレイク
前田の代役として「期間限定」で主将に任命された笹井知哉(3年)が1番に座り、リードオフマンとしての役割を果たした。準決勝の近大付戦では初回、初球をとらえ二塁打。続く山田太成(3年)も初球攻撃で右中間を破り、わずか2球で先制した。金光との決勝でも初回に安打を放って好機を演出するなど攻撃的な1番打者で、打線に活気をもたらす存在になるだろう。笹井はセンバツまで三塁コーチ専門でほとんど出番がなかったが、春の公式戦で一気にブレイクした。
4番の重責を担ったラマル
来季の中軸として期待されるのがラマル・ギービン・ラタナヤケ(2年)で、持ち前の長打力で計3本塁打を放ち、4番の重責を果たした。
両親がスリランカ出身で、秋も彦根総合(滋賀)戦で4番を打ったことがあり、入学早々から期待されている。ただ今春は、準決勝、決勝で無安打に終わった。ラマルが打っていれば大きく展開が変わっていたはずで、キレのいい変化球への対応や、決勝で失点につながった三塁守備など、課題は少なくない。
2年生大型左腕の安福は緩急が巧み
投手陣は準決勝、決勝で2年生が躍動した。特に注目したいのが188センチの大型左腕・安福拓海(2年=タイトル写真)で、同じ左腕の前田とはタイプが大きく異なる。最速144キロとされるが、目を見張るのが緩急の巧みさで、巨体を屈めて腕をやや下げ、威圧感のあるフォームから、大きく変化するカーブやパームでタイミングを外す。先発した準決勝の近大付戦では6回を3安打無失点と好投したが、大型左腕にありがちな制球面での不安がないわけではない。序盤から四球の走者を背負う場面もあり、競り合った展開で力を発揮できるかは未知数だ。
右腕本格派が揃う控え投手陣
もう一人の2年生右腕・平嶋桂知(かいち)は、金光との決勝で2失点(自責0)完投と力投した。185センチと体格も申し分なく、来季は安福との大型左右両輪として期待される。今季の大阪桐蔭の投手陣は前田を除くと、同じような右腕の本格派投手ばかり。平嶋を始め、今春、背番号1だった南恒誠、松井弘樹(いずれも3年)に、南陽人、境亮陽(いずれも2年)は全員、最速が140キロを超えるが、タイプが似ている。待望の左腕の出現で、西谷監督のやりくりも少しは楽になるだろう。
金光は伝統的に苦手な相手
金光との決勝での敗戦は、大阪桐蔭にとって3年前の夏の履正社戦以来の公式戦黒星だということで、この年はコロナで春夏の甲子園大会が中止となり、いわゆる「独自大会」だった。さらにさかのぼると、4年前の夏の準々決勝で金光に、タイブレークでサヨナラ負けしている。実は金光とは伝統的に相性が悪く、中田翔(巨人=34)がいた平成19(2007)年夏の決勝では、金光の植松優友投手(元ロッテ)に抑えられた。
翌秋の近畿大会では、準々決勝の大阪対決で8回、陽川尚将(西武=31)に同点弾を浴びたあと、9回サヨナラ負けを喫し、センバツ出場を逃した。今夏も直接対決が実現すれば、こうした悪夢が脳裏をよぎるかもしれない。なお大阪桐蔭は、大阪2位で出場する近畿大会(27日開幕)では、初戦で智弁学園(奈良)と当たり、センバツで敗れた報徳学園(兵庫)とは準決勝で当たる可能性がある。