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あなたの妻は大丈夫⁈年末年始の帰省でわかる「実家依存症の妻」の実態とその対策【弁護士が解説】

後藤千絵フェリーチェ法律事務所 弁護士
(写真:Paylessimages/イメージマート)

1 はじめに

新型コロナウイルスの感染状況も落ち着きを見せる中、今年は年末年始に帰省されるご家庭も多いのではないでしょうか。

夫と妻の実家をそれぞれ順番に訪問するというご家庭もあれば、行き来せずにお互い実家でゆっくり過ごすというご家庭もあると思います。

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

ところで、妻が正月三が日をすぎても一向に帰ってこず、結局1月末頃まで実家で過ごしていたという経験はありませんか?

もしくは、妻の実家に正月の挨拶に行ったところ、妻の家族の結束が異様に固く、夫である自分だけが邪魔者扱いされているような気がしたことは?

―それは妻が「実家依存症」に陥るサインかもしれません。

2 実家依存症の妻とは?

写真:アフロ

最近、妻が実家に頻繁に帰り、それが原因で離婚に至ったという男性からの相談が増えてきました。

配偶者が実家にべったりで親離れできず、結婚生活をないがしろにする…その顕著な例が、妻の「実家依存症」と言われるものです。

もちろん、実家や母親を大切にするのは、非難されることではありませんが、現在の配偶者をないがしろにして、母親の意見ばかりを無条件に聞きいれて夫の意見に聞く耳をもたなかったり、実家に入りびたりになることは夫婦間に亀裂を生じさせる深刻な問題となり得ます。

3 結婚は家同士の結びつき

写真:アフロ

よく結婚は『家同士の結びつき』と言われます。

やや時代錯誤的な考え方のような気もしますが、現実問題として、結婚すると否が応でも相手の両親をはじめとする親族との付き合いが始まります。

家族・親族問題は結婚生活においては重要で、対応を誤ると、こじれにこじれて最悪な場合は離婚ということにもなりかねません。

家族・親族問題はけっして見過ごしてはならない重要な問題といえるでしょう。

特に夫が妻の家族と折り合いが悪いことが離婚の原因となっている事案は思いのほか多く、最高裁判所では毎年離婚に関する原因別データを開示しています。

これは「婚姻関係事件数申立ての動機別申立人別全家庭裁判所」というデータで、申立人が離婚の動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計しています。

※出典:「婚姻関係事件数申立ての動機別申立人別全家庭裁判所」

https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf

(注)申立ての動機は,申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計。

このデータによれば、「家族親族と折り合いが悪い」という離婚理由は、男性の4位となっており、大変深刻な問題であることがわかります。

一方女性では9位と、男性に比し順位が下となっていることから、男性にとって女性の家族との関係性が特に難しいことが浮き彫りとなっています。

4 実家依存症の妻の特徴と原因

では、実家依存症の妻の特徴や、実家依存症に陥る原因は何なのでしょうか?

注意点とともに解説していきます。

① 実家大好き。母親とは友達のような関係

写真:maroke/イメージマート

実家依存症の妻の特徴として、母親とは友達のような関係で、休日も友達感覚で一緒に買い物に出掛けるといったケースが多いです。

母親が、指導的な立場ではなく女友達の立ち位置ですから、娘の行動を戒めるというよりは、娘の夫の愚痴や不満を同調して聞きます。

このような妻と母親との関係は、要注意です。

そもそも実家依存症の始まりは、家事や育児に疲れた妻が実家に帰ると、両親が「待ってました!」とばかりに至れり尽くせりの対応をすることにあります。

実家の両親としては、無理はないかもしれません。

孫の存在は、目の中に入れても痛くないほど可愛いものだからです。

そうなると、娘としても実家の居心地が良くないわけがありません。

家事育児は休業して、のんびり羽を伸ばしたいーこれが実家依存症の始まりかもしれません。

妻が家事や育児に疲れきって実家に戻らないように、日頃から夫が家事育児を手伝い、フォローすることが大切です。

② 実家と相互依存の関係にある

写真:アフロ

妻の両親は、娘を嫁に出して、寂しい二人暮らしを送っています。そうしたところに、嫁に出した娘が孫を連れて戻ってくる。

ひっそりとしていた老人二人の暮らしが、孫たちの出現によって途端に活気づきます。

自分たちの子育てとは違い、孫の世話は苦にならず楽しいもの。

夫の愚痴など聞かされているうちに、いっそのこと、娘が実家に帰り、娘と孫と一緒に暮らせたらどれだけにぎやかで楽しいかと想像します。

仕事でいつも帰りが遅く、子育ても手伝わない夫は悪者になり、あんな男とは別れて、実家で暮らせばいい、孫の面倒はみてあげるから・・。

双方の利益が一致し、妻は実家から帰ってこなくなります。

実家と妻が相互依存の関係にあることは言うまでもありません。

夫としては妻の実家の両親の状況にも、それとなく気を配っておくことが重要です。

③ 困難に立ち向かうことなく、実家に逃げている

写真:cake_and_steak/イメージマート

夫婦というものは、困難に一緒に立ち向かって初めて、絆が深まります。

しかしながら、妻に実家という逃げ道があると、あえて困難に立ち向かおうとせず、実家を避難場所としてしまうのです。

そうなると、夫婦の絆は深まりません。

夫婦として困難に立ち向かうには、夫婦間の話し合いが重要となってきますので、常日頃から話し合う習慣を持つことが大切です。

5 おわりに

写真:アフロ

いわゆる「実家依存症の妻」の特徴や注意点を挙げてきました。

親を大切にすることは優しい性格の表れですし、実家の援助は子供をもつ共働きの夫婦にとって大変ありがたいことです。

ただ、行き過ぎると夫婦間に致命的な亀裂を生じさせます。

相手に注意をしたり話し合いを求めても、親を非難していると受け取られかねず、関係が一層こじれる場合もあります。

相手の両親が絡む問題はデリケートな問題ですし、より細やかな対応が必要とされます。自分一人だけで悩むのではなく、専門家の意見も取り入れながら、焦らずに対処することをおすすめします。

フェリーチェ法律事務所 弁護士

京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。なかでも、離婚は女性を中心に、年間300件、のべ3,000人の相談に乗っている。

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