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アミューズメントカジノの危険性:オンラインカジノの轍を踏まないための早急な対策を

森井昌克神戸大学 名誉教授
写真:イメージマート

オンラインカジノの問題が深刻化する中、新たに注目されるのが「アミューズメントカジノ」の存在だ。デイリー新潮の報道によれば、オリックス・山岡選手がオンラインカジノにハマり、日本最大のポーカー大会を運営する企業がその普及に関与したとされる。また、六本木のアミューズメントカジノでは、ポーカーで250万円の負け代を支払えない客が警察に駆け込む事態が発生。店側は「無銭飲食と同じ」と主張し、支払いを求める姿勢を示している。さらに、Yahoo!ニュースの記事では、オンラインカジノが違法賭博であるにもかかわらず、なぜ多くの人が手を出してしまうのかが分析されている。これらの事例から、アミューズメントカジノがオンラインカジノと同様の社会問題を引き起こすリスクが浮かび上がる。

私は、アミューズメントカジノに対して早急な対策が必要だと考える。オンラインカジノとアミューズメントカジノには共通点がある。まず、換金性の高さが挙げられる。法律的な位置づけは曖昧だが、換金性が高い時点で賭博行為に該当し、処罰されるべきだ。オンラインカジノが広まった背景には、「違法ではない」「海外サイトだからグレーゾーン」といった誤った情報がネット上で拡散され、一部専門家さえ「違法とは言えない」と発言したことがあった。これが一般的な誤解を招き、違法賭博が蔓延する一因となった。アミューズメントカジノも同様だ。「アミューズメント」という名称で合法を装い、賭博行為を隠してしまうのは大きな問題である。

さらに問題なのは、六本木の事件で麻布署の刑事が「合法」と発言したとされる点だ。記事の真偽は不明だが、もし本当であれば、警察の認識の甘さがアミューズメントカジノの拡大を助長しかねない。オンラインカジノが社会問題化したのも、初期の対応が甘かったからだ。利用者が借金を抱え、犯罪に巻き込まれるケースが続出し、ようやく規制強化に動いた経緯がある。アミューズメントカジノも、このまま見逃せば、オンラインカジノ以上の問題を引き起こす可能性がある。たとえば、250万円もの負け代を請求された客が支払い能力を超える場合、闇金に手を出したり、犯罪に走ったりするリスクが高まる。

オンラインカジノの轍を踏まないためには、アミューズメントカジノへの対策を急ぐべきだ。まず、換金性の高いアミューズメントカジノを賭博行為と明確に位置づけ、違法性を周知徹底する必要がある。警察や行政は、合法と誤解されるような発言や対応を厳に慎み、取り締まりを強化すべきだ。また、アミューズメントカジノ運営企業に対して、換金行為の禁止や監視体制の強化を義務づける法整備も急務である。賭博行為が社会に与える害は計り知れない。実際、その元手欲しさに不正アクセスや闇バイトといった、更に凶悪な犯罪に手を染める例が多発している。オンラインカジノの問題を教訓に、アミューズメントカジノが新たな社会問題となる前に、迅速な対策を講じるべきだ。

神戸大学 名誉教授

1989年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程通信工学専攻修了、工学博士。同年、京都工繊大助手、愛媛大助教授を経て、1995年徳島大工学部教授、2005年神戸大学大学院工学研究科教授(~2024年)。近畿大学情報学研究所サイバーセキュリティ部門部門長、客員教授。情報セキュリティ大学院大学客員教授。情報通信工学、特にサイバーセキュリティ、情報理論、暗号理論等の研究、教育に従事。内閣府等各種政府系委員会の座長、委員を歴任。2018年情報化促進貢献個人表彰経済産業大臣賞受賞。 2019年総務省情報通信功績賞受賞。2020年情報セキュリティ文化賞受賞。2024年総務大臣表彰。電子情報通信学会フェロー。

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