米国チームが大量リードを奪ったライダーカップ初日。それでも米国側から噴出した「アンフェアだ」の声?
米国チームと欧州チームが国と大陸の名誉をかけて戦う2年に1度の伝統的な対抗戦、ライダーカップは、すでに初日が終了し、「6対2」で米国チームが大量リードを奪った。
このリードは、米国チームの対戦相手が「英国チーム」から「欧州チーム」に拡大された1979年以来の最大リードということで、米国チームも関係者もファンも歓喜に沸いている、、、はずだった。
しかし、噴出したのは「アンフェアだ!」という不満の嵐。一体、何が「アンフェア」なのか。聞いてビックリの話だ。
米国側から出た「アンフェア」の声は、米国チームの選手たちに随行しているスイングコーチら約20名の待遇に対する不満だ。
ライダーカップは開催地が米国と欧州の交互とされており、今年は米国のウィッスリングストレイツが舞台。欧州チームの選手たちに随行して米国へやってきているコーチたちの飛行機代やホテル代、飲食代は、ライダーカップの主催者であるPGAオブ・アメリカによって賄われることになっており、さらに欧州側のコーチたちは、コース内や練習場、ホテルやチームルームへの立ち入りも許可されている。
しかし、米国側のコーチたちは、飛行機もホテルも飲食も、すべて自費。試合会場や選手たちが宿泊しているホテル、チームルームへの立ち入りも、大幅に制限されていて、ほとんど禁止に近い状態だという。
コーチの中には、契約している「他の生徒たち」のレッスン等々を休んでライダーカップに出場している選手に随行しているというケースも多く、そうした「臨時休業」による損失と旅費等々の経費を併せると、ライダーカップ・ウィークのコーチの「持ち出し」は1万ドル~2万ドル、日本円で100万円~200万円にもなるそうだ。
そこだけ聞いていると、米国側のコーチと欧州側のコーチで対応に差があることは歴然だ。
試合会場やホテルでの選手に対するアクセスは、絶対的に公平であるべき。欧州側のコーチは選手と密なコミュニケーションが取れるのに、米国側は接する機会も制限されるというのは、どう考えてもおかしい。
だが、コーチの旅費等々の経費に関しては、もちろん欧州側とは正反対の状況ではあるが、高額賞金を稼いでいる一流選手ばかりだということを考えると、自分のコーチの経費を負担するなどして解決することは無理難題ではないはずだ。
この件に関して、PGAオブ・アメリカは、まだ公けにはコメントを出していないが、米国側は「ホーム」のチームであり、欧州側は「アウェイ」だ。そのアウェイのの欧州側は米国へやってきている「ゲスト(お客さん)」なのだという意味合いで、欧州側のコーチの経費を負担することにしたのではないかと推測される。
その姿勢を良しとするのかどうかは考え方次第だが、少なくともライダーカップが始まったばかりの初日に、しかも歴史的な圧倒的リードで好発進した初日に、「アンフェアだ」と声を大にして叫ぶことなのだろうかという疑問を覚える。
開幕前はブライソン・デシャンボーとブルックス・ケプカの不仲の問題で揺れていた米国チームだが、蓋を開けてみたら、それとはまったく異なる金銭の問題で大揺れするとは少々情けない。
賞金ではなく名誉やプライドをかけて戦うライダーカップなのだから、コーチたちの経済的な待遇に関する揉め事は、できることなら、試合の真っ只中では「休戦」してほしい。