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防衛省、ウクライナに市販ドローン提供:岸防衛大臣「できる限りの支援」戦場では何台でも必要なドローン

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「国際社会と結束して毅然と行動することは日本の安全保障の観点からも極めて重要です」

岸防衛大臣は2022年4月19日に開催された記者会見で、ウクライナに対して追加支援として防護マスク、防護衣、ドローンを提供することを発表した。ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻してから化学兵器が使用されている可能性が強いことが指摘されていることから防護マスク、防護衣を提供。さらにウクライナの防衛を目的として市販品のドローンを提供。準備が整い次第、民間機で輸送する。岸防衛大臣は「国際社会と結束して毅然と行動することは日本の安全保障の観点からも極めて重要です。今後もウクライナに対してできる限りの支援を行っていく」と語っていた。具体的な機種名は明らかにしていないが、市販されているドローンを提供するため軍事用の装備品にはあたらないとのこと。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、監視・偵察用、攻撃用に多くのドローンが活用されている。両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃が続いており、ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っており、ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」でロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功している。軍事ドローンは上空から地上に突っ込んできて攻撃をするので破壊力も甚大であることから両国にとって大きな脅威になっている。そして米国バイデン政権は米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供している。英国も攻撃用の軍事ドローンをウクライナ軍に提供している。

攻撃ドローンだけでなく監視・偵察用ドローンもウクライナ上空を多く飛行している。これらは両軍がお互いの陣地や移動の様子を上空から確認するのに大きく貢献しており、ウクライナ紛争での「上空の目」として両軍ともにドローンは必要不可欠なものになっている。またウクライナ軍が上空から撮影したウクライナの破壊された街の様子やロシア軍の動向、攻撃シーンの動画は海外のメディアでは頻繁に流されて報じられている。

だが特に監視・偵察用の市販の民生品ドローンは簡単にドローン迎撃システムで機能停止されたり、撃墜されたりする。攻撃ドローンは敵陣に突っ込んでいき標的を爆破するので、一度の利用で破壊するため再利用することができない。監視・偵察用ドローンも上空で機能停止されてしまったり撃墜されてしまったら「上空の目」としての偵察活動ができない。そのため攻撃ドローンも監視・偵察ドローンも何台でも必要なのである。

▼ウクライナ軍の監視・偵察ドローンで上空から撮影された様子を伝える英国メディアの動画ニュース

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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