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スーパーウエルターでの再起を誓う2階級制覇チャンプ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Amanda Westcott/SHOWTIME

 7月30日にスーパーウエルターでの第1戦----vs.ホセ・ベナビデス(30)----を控えた元WBA/WBCスーパーライト&WBCウエルターの2階級制覇王者、ダニー・ガルシア(34)が地元、フィラデルフィアで練習を公開した。

 ガルシアは、2020年12月5日にエロール・スペンス・ジュニアに敗れて以来の再起戦となる。ガルシアもベナビデスも、来る30日が154パウンドでの初試合だ。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 試合会場は、ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センター。ガルシアが当地のリングに上がるのは、今回が9度目だ。

 2012年10月20日にエリック・モラレスを4回KOで下してWBA/WBCスーパーライト級タイトルの防衛に成功した思い出の地でもある。このファイトが、ガルシアにとってバークレイズ・センターにおける初のメインイベントであった。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 ガルシアは語った。

 「トレーニングはとても上手く運んでいる。今回の一戦に向け、3ヵ月みっちり練習したよ。最高の状態だ。

 久しぶりの試合だが、10年間も世界タイトルマッチをこなしてきたから、俺には少し休息が必要だった。疲れていたし、鋭さも失っていた。休んだお陰で心身ともにリフレッシュできた。家族と一緒に過ごす貴重な時間を持てたんだ。そんな日々を過ごしていたら、リングが恋しくなったね。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 ベナビデスは技術を持ったタフな選手だ。27勝1敗1分けのなかには、強豪とのファイトも含まれる。ベストコンディションに仕上げてくるだろうね。ノックアウトを狙っていくが、当然のことながら12回フルに戦う準備もするさ。そして、ファンが喜ぶ試合をお見せする。

 154パウンドって、自分のナチュラルウエイトなんだ。140パウンドや147パウンドで戦っていたから、この階級での俺は小さいと感じる人も多いだろう。でも、体を絞り込んで減量していた頃より、年齢を重ねた今は賢さがある。減量苦に耐えるより、プラスだと思うよ。

 2020年は自分にとっていい年であり、悪い年でもあった。2戦して結構なカネを稼げた。でも、パンデミックだったからストレスと共に生活しなければならなかった。精神的に疲弊したな。俺だけじゃなく、皆がそうだっただろうけどさ。そんななかで、キャリア最大とも呼べるエロール・スペンス・ジュニアと戦ったんだ。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 154パウンドで、もう一度スペンスと戦いたい。俺たちは既にボクシング史に残る試合をした。スーパーウエルターでも、多くの素晴らしい試合ができると確信している。

 ボクシングジムって独特の臭いがするだろう。戻って来たとき、それが良かったんだ。俺にとっては、母親の手作りの料理みたいなものなんだよ」

 ガルシアの戦績は、目下36勝(21KO)3敗。スーパーウエルター級での初戦で何を見せるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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