元ハリケーン「フィオナ」がカナダ直撃、史上“最低気圧”を記録
台風15号から変わった温帯低気圧が、日本に大雨をもたらしていった24日(土)ですが、ちょうど同じ頃、カナダでも大変な出来事が起きていました。
今年、大西洋の第6号ハリケーン「フィオナ(Fiona)」が、カナダ東部に接近。上陸直前に温帯低気圧となって、現地時間24日朝にカナダ東部ノバスコシア州を直撃しました。
気象局によると、この時地上では、931.6hPaという凄まじく低い気圧が観測されていました。これはカナダの観測史上もっとも低い気圧です。これまでの国内記録は、1977年1月に東部で記録された940.2hPaで、冬の爆弾低気圧によるものでした。
被害
今回観測された最大瞬間風速は、ノバスコシア州で秒速48メートル、またレックハウスという風が強いことで有名な地点では49メートルでした。
カナダ名産のメープルの木々も倒れ、ノバスコシア州では島民の8割に当たる40万人以上が、また「赤毛のアン」で有名なプリンスエドワード島では、島民の95%が停電に見舞われたようです。海岸に建つ家々が浸水し、一部は押し流されるなどの被害が起きています。(下の動画)
この嵐の対応のため、カナダのトルドー首相は、参加予定だった27日(火)の安倍前総理の葬儀を急きょ欠席すると表明したようです。
フィオナは温帯低気圧に
フィオナは北緯30度の北の海域でも中心気圧932hPaという、大西洋の観測史上もっとも北に進んだ最強ハリケーンとなったようです。
ところが、フィオナがカナダにあと一歩で上陸というときに、北米大陸から進んできた低気圧と前線に取り込まれ、温帯低気圧へと変わったのです。一体どういう意味かというと、熱帯の暖気だけで作られていたハリケーンに寒気が入り込んだことで、寒気と暖気が同居するようになったのです。
つまり、構造が変わったということです。
台風13号、アラスカで大暴れ
先週、日本の東の海上で発生し、そのまま北上したために、ほとんど話題にも上らなかった台風がありました。13号です。実はこの台風、北上するうちに温帯低気圧となってアラスカ西部を直撃、大きな被害をもたらしました。
少なくとも1974年以来で最大といわれる高潮が記録され、沿岸部で洪水の被害が広がりました。
このように温帯低気圧化しても、弱まるどころか強まったりするものもあります。私も日本人の先輩から「台風が温帯低気圧になっても、”弱まる”という言葉は使わないように」と、口酸っぱくして言われてきました。
しかしアメリカなどでは、温帯低気圧化すると、”弱まる”とか、”格下げされる”などという言葉がよく使われます。ところがその言葉にそぐわない例も多くあり、やはり言葉に相当気を使う必要がありそうです。
ただ、2012年にハリケーン「サンディ」から変わった温帯低気圧が、アメリカ東部で豪雨や暴風雪を引き起こした時には、「弱まった」という言葉はいかがなものだろうという声が上がっていたことを思い出します。