おつきさまこんばんは【保育士書店員が選ぶ絵本】寝かしつけのコツをこっそり教えます。

『寝かしつけ絵本12選【保育士書店員が選ぶ絵本】眠くなるコツ体験談あり』動画ではさらに多くの寝かしつけ絵本の紹介と、書店員たちの寝かしつけ体験談をお話ししています。
寝ない娘
娘は「さあ寝よう!」というタイミングが大嫌いです。電気を消すことを分かっているからです。
2歳までの赤ちゃん時期よりも、3,4,5歳とだんだん大きくなるにつれ、読み聞かせが終わった後に必ず「小さな電気つけて!消したらダメだよ!」と言うようになりました。
ある夜、わたしはカーテンの向こうに、何か強い光があるのに気づきました。驚いてカーテンを開けると、それは…満月の光でした。
なんて神々しく、温かい光なんだろう。心を奪われたわたしは、そのまま空を見上げていました。
そして思いついたのが、読み聞かせの後にカーテンを開け放って、電気を全部消すことでした。
子どもたち3人と川の字で横になり、考えた通りにやってみると…月の光にみんな感動!
娘は「明るいね。」「きれーい!」と言って、部屋が暗いことを忘れていました。
満月を見ながらのお話タイムは、ふだんとは一味違う最高のひとときでした。
「お月さまには、うさぎがいるらしい」と娘。
「UFOが飛んで来たら、どうする!?」と息子。
そしてだんだん眠くなって…みんなで静かに眠りにつきました。
そんな一夜を思い出す『おつきさまこんばんは』です。
おつきさまこんばんは
林明子 福音館書店

あらすじ
お日さまが沈むと、空がだんだん暗くなるね。そこに、ほら、お月さま!
だんだん明るくなってきたよ。「お月さま、こんばんは!」
ネコたちは屋根に上ってご挨拶したいのに、イジワル雲がお月さまを隠しちゃった。「そこをどいてよ。雲さん!!お月さまが泣いちゃうよ!」
大丈夫。お月さまはみんなの人気者だから、雲さんもお話しがしたかったんだよ。
雲が消えて、まん丸の月がくっきりと見えました。夜空に煌々と輝くお月さまは、今日もみんなを優しく、ニッコリ笑顔で照らしてくれます。あなたのこともね。
お月さまがくれる安心感
月の温かな光には、わたしたちを見守ってくれる安心感と優しさを感じます。
『おつきさまこんばんは』は、寝る前の子どもたちの気持ちに、そっと寄り添う絵本です。
子どもたちは時間通りに眠ることが苦手です。特に0,1歳の子どもたちに親は苦労します。
生活リズムが整いにくい時期だからといわれていますが、わたしには他にも理由があるように思えます。
わたしは3人の子どもを育てています。3,4歳頃までに共通していたのは、眠るギリギリまで目を閉じないということです。
5歳頃になると布団に入ったら、意識的に目を閉じるようになるのですが、それまでは、眠りに入るギリギリまで目を閉じませんでした。
「眠れないよ」とぐずる時も、なぜか目を閉じないで大きく開けているのです。
なんで!?目を閉じればいいのにと、何度も思いました。そして心を落ち着かせてから、子どもたちの気持ちを、もう一度よく考えてみました。
「目を閉じたら一人になってしまう」という不安な気持ち。
「これから楽しいことが起こるかもしれない」という好奇心や期待。
そんな感情が入り混じって、気持ちがたかぶっていたのかもしれません。
『おつきさまこんばんは』は、そんな子どもたちの心配や不安を鎮め、明日もきっと楽しいことがあるよと、期待を持たせてくれる絵本です。
「みんなも眠るから、あなたも眠って大丈夫だよ。一人じゃないよ」
お月さまの笑顔から、そんな言葉が聞こえてきそうです。
絵本を読む親のほうが先に夢の世界へ、なんてこともありますよね。
それでも大丈夫、お子さんはお月さまが見守ってくれますよ。