有事に備えた阪神の編成。格安の新戦力がチームを救う日は来るか
貯金1ながら首位に立つ阪神。オフに目立った大きな補強は無かったが、鳥谷の去就が決まっていなかった頃に内野の複数ポジションをこなせる守備力の高い森越を獲得し、シーズン序盤にメッセンジャー、マートン、ゴメスの調子が上がらないと見るやサンティアゴ、ペレスと契約した。サンティアゴは5月15日の中日戦で初登板初勝利を挙げファームでも8試合に登板して防御率1.98の好成績を残し、森越、ペレスも絶好調だ。
森越は25試合に出場し打率.350、最近は1番での起用が増えている。「試合開始の1打席目は大事にしてました。初回の先頭が出ると出ないでは大きく変わると思うので」ファームで打率.300以上は全部で9人。関本や大和など極端に打席数の少ない選手を除けば高打率を残しているのは.351の柴田、.340の梅野、.300の江越とやはり1軍経験豊富な顔ぶれが並ぶ。森越がすごいのはこの面子に引けを取らないどころか、.588という長打率。これは14試合で.340、3本塁打、11打点と格の違いを見せつけた梅野さえも上回っている。本人は「狙ってるわけじゃないんですけどね。三塁線抜けたり外野の間に落ちたり飛んだコースがたまたま良かっただけ。それと外野の肩が弱い時に2塁狙ってセーフになったり、結果的にそうなってるだけです」と話していたが本塁打2本とパンチ力もあり、持ち前の守備ではやや強めのハーフバウンドも全く難しい打球に感じさせないさすがのグラブ捌きを披露。いつでも昇格に向けて準備万端だ。
4番に座るペレスは甲子園で行われた昨日の中日戦で移籍後初ホームラン。ストレートを完璧に捉え逆方向のレフトスタンドへ叩き込んだ。この一打を掛布DCも「素晴らしいよね。右投げ左打ちだから左の肩が前に出ていかない。下半身をレベルに使えるからバットの出てくる角度がすごくいい。バットがボールの下に入る」と絶賛。この試合は4打数3安打、その前の試合は4打数4安打で甲子園通算は8打数7安打と甲子園で大暴れ。現在OPSは1.110と4番に相応しい数字を残し、守備でもレフト、ファーストをこなす。第6の助っ人は虎視眈々と1軍昇格のチャンスを狙っている。
森越がフルイニング出場を続ける鳥谷、復調気味の選手会長・上本の二遊間コンビに割って入るのは容易ではなく、サンティアゴとペレスもメッセンジャー、呉昇桓、マートン、ゴメスの現在の活躍ぶりからすると外国人枠の関係上すぐに1軍からお呼びがかかることは考えにくい。それでも「有事に備える」という観点から見れば編成にとっては文句なしの補強。長いペナントレースではチーム状態が良い時もあれば悪い時もある。その時ものを言うのが選手層の厚さ。この先チームが不調に陥った時、年俸は3人合計しても2600万という新戦力がチームを救うかもしれない。