タモリさんが「奇跡の坂」と呼んだ再開発を生き延びた名坂に、いま紅葉が舞い降りる
宿泊経験500泊。関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。
東京都港区には、タモリさんが「奇跡の坂」と呼んでいる坂が2つあります。
このエリアにある二つの坂(道源寺坂、雁木坂)を、僕は「奇跡の坂」と呼んでいます。
『お江戸・東京 坂タモリ港区編』タモリ著(2022年出版)
開発の波を生き残った「道源寺坂」
1つ目の奇跡の坂は、地下鉄六本木一丁目駅3番出口目の前の「道源寺坂(どうげんじざか)」。
バブル期のアークヒルズ再開発、その後の泉ガーデン再開発の2つの荒波を、奇跡的に生き残った江戸時代から変わらない坂です。
なお、矢印のように地下鉄神谷町駅方面に向かうと、もう1つの奇跡の坂・雁木坂があります。
地下鉄の出口の目の前にある道源寺坂。
しかし、多くの人はこの坂には用がないようで、向かう人はごくわずかです。
案内板あり
道源寺坂の名前のもととなった、道源寺の門を借景に。折れ曲がった道と、いつからここにあったのか、街路樹が印象的です。
江戸時代の地図を見ると、道源寺坂だけは当時のまま残っていることが分かります。まさに奇跡の坂です。
紅葉を渡る橋
道源寺坂を登った後、神谷町駅方面に向かうと、泉屋博古館(せんおくはくこかん)という美術館を通ります。
ちょうど、紅葉を渡る橋が見頃でした。
※美術館では、ラディカルな表現を試み、エキセントリックな生き方を貫き、美術史から零(こぼ)れ落ちた尾竹三兄弟の特別展を開催中です。
泉屋博古館の向かい側には、神谷町駅方面に抜ける良い歩行者道路があります。
城山
歩行者道路の途中を脇に入ると、城山トラストコートというマンション。
タモリさんの著書によれば、この一帯は城山と呼ばれる高台で、鎌倉時代の熊谷氏の城跡だった、あるいは室町時代の太田道灌の砦(とりで)跡だったなどの伝承があるそうです。
確かに、城山に向かっては、緩い坂道になっています。
神谷町駅近くのショッピングモールのなかも、城山に向けて緩い坂道になっていました。
もう1つの奇跡の坂「雁木(がんぎ)坂」
神谷町駅周辺から雁木坂へ向かうには、霊友会釈迦殿(れいゆうかいしゃかでん)で検索すると便利です。
1975年に完成した、新宗教・霊友会の講堂は壮観で、今でも近未来の建築のように見えます。外国人観光客が見学に来ていたほどでした。
いんなあ・とりっぷの後は、講堂すぐそばの雁木坂へ。
大規模再開発の余波で、名坂が消えゆくなか、奇跡的に残った坂です。雁木坂とは、階段状になった坂道を指す言葉です。
タモリさんは、真ん中と端の材質の違いに気づきます。
真ん中はツルツルしており、多くの人が通ったのかも知れません。タモリさんは真ん中が江戸時代、両脇が明治以降に拡張された部分? さて?と推理しています。
雁木坂に向かう途中の八幡神社からは、東京タワーが見えます。
帰路は神谷町駅まですぐです。
※神谷町駅直結の麻布台ヒルズ ギャラリーでは「ポケモン×工芸展 ―美とわざの大発見―」を開催中。
下のページには、タモリさんが昔から好きで何度か来たという「洞坂(ほらざか)」のほか、「薬研坂(やげんざか)」「三分坂」などを紹介しています。
【完全版】ブラタモリ 過去放送のロケ地一覧(とらべるじゃーな!)には、ブラタモリの全国のロケ地を詳細に紹介しています。