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都知事選後も注目集める石丸伸二氏 彼がモデルの劇映画が8月公開という超高速進行 #専門家のまとめ

斉藤博昭映画ジャーナリスト
東京都知事選を控えた会見での石丸伸二氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

東京都知事選が終わり、得票数で2位となった石丸伸二氏ですが、選挙後のメディアとの対話などが炎上ネタのように扱われるなど、政治家としてのキャラクターが物議を醸しています。ある意味で、いま最も注目の人物となっているわけですが、この事態を予見したかのように、石丸氏をモデルにした劇映画が8月に劇場公開と、異例のスピード感で進められています。日本映画を牽引してきたプロデューサーならではの瞬発力に驚かされます。

ココがポイント

▼3月に企画が立ち上がり、迅速な劇場公開を目指して撮影

石丸伸二をモデルとした劇映画『掟』8月30日緊急公開 奥山和由が企画・プロデュース(Real Sound)

▼俳優が演じながら抱いた複雑な心境に、現在起こっている“石丸論議”が重なる

石丸伸二氏をモデルにした映画が公開決定も…主演俳優が綴っていた違和感「カリスマに引っ張られすぎるのは危ない」(女性自身)

▼日本映画の歴史を作ってきたプロデューサーの仕事の流儀、インディーズ映画から受ける刺激

映画プロデューサー 奥山 和由|100本以上の映画を作ってきた奥山流「企画実現力」(創業手帳)

▼旬の話題の政治家や選挙ネタの映画は、少しでも早く公開したい。選挙から2ヶ月後の例も

新総理が誕生する今、「なぜ君は総理大臣になれない?」と問うた監督は、衆院選へ向けて新作を(Yahoo!ニュース エキスパート 斉藤博昭)

エキスパートの補足・見解

『掟』は完成したばかりということで、現在観られる予告編からは、どのようなメッセージを届ける作品になっているかは未知数です。原作は舞台劇で、たしかに主人公は石丸氏がモデルながら、彼を礼賛する映画ではないことは作り手側がXなどで切実に訴えています。今の段階では話題になっているものの、メジャーな俳優が出演しているわけでもなく、公開される劇場も限定的ですから、8月の時点でどこまで話題が継続しているかもわかりません。ただ、都知事選後のタイミングでこのように公開が発表になるなど、奥山Pらしい戦略がうかがえます。またここ数年、大島新監督の作品など政治家を扱った映画の需要がじわじわと増えている社会の流れから、一定の注目は集めるはずです。公開時に、石丸伸二氏に対する世間の目がどのように変化しているのか? そこも作品の受け止められ方を左右するカギになります。

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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