緊急打撃投手を務めた上原浩治が見た鈴木誠也選手の現在 メジャー移籍待ちでもストイックに自分を追い込む
予想外のネットの反響に驚いている。メジャー移籍を目指す鈴木誠也選手のバッピ(打撃投手)を務めた映像をアップしたことである。
メジャーの労使交渉が難航している影響で、移籍先が決まらない。日本のプロ野球もキャンプインを迎えているように、本来なら鈴木選手も「生きたボール」を打ち込む時期のはずだ。聞けば「ピッチャー相手に打っていない」という。労使交渉の影響からオフが長引けば、実戦から離れる期間も長くなる。この時期に、マシン相手にしか練習できないのはつらいだろう。「打つんやったら投げたるよ」。会話の流れでのやりとりから、2月上旬に2回ほどバッピを買って出た。
1回あたり7、80球。ボールを握ったのは昨夏以来ということで、ブランクの影響は避けられず、なかなかコントロールが定まらなかった。それでも、彼自身のバットから響く快音からは調整の遅れは感じられなかった。早くアメリカへ行って、もっと多くの球を打ってほしいな。そんな思いを抱きながらの投球だった。
現役時代の対戦は2018年の2度しかない。外野フライと四球。四球のときの打席では、彼がフォークを空振りしたときに左手親指を脱臼したそうだ。彼はそんな状態でキャリアハイの30本塁打をマーク。そのときのエピソードはYouTubeチャンネル「雑談魂」に譲るとして、少し人間性にも触れたい。
同じ事務所に所属する間柄だが、コロナ禍もあって一緒に会食に行く機会はまだない。会話の中で、私が勝手に持った印象は「どっしりと構えている感じ」。周りに流される性格ではなさそうだ。メジャー向きともいえる。
こっちが「何か手伝えることがあれば」と声をかけただけだったのに、練習後はおいしいお弁当を用意してくれていた。律儀な男のメジャー移籍が一日も早く決まることを願っている。