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PS5の世界出荷数 第1四半期に“ペースダウン” なぜ?

河村鳴紘サブカル専門ライター
ソニー本社=著者撮影

 ソニーグループの2021年度第1四半期(4~6月)の決算が発表され、PS5の出荷数などの最新データも更新されました。新型コロナウイルスの影響が続いていますが、ソニーグループ全体では好調に推移しています。ゲーム事業(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)はどうでしょうか。

 ゲーム事業(ゲーム&ネットワークサービス)の売上高は約6158億円(前年同期から97億円増)、営業利益は約833億円(同406億円減)の増収減益でした。商品単価が高いものの戦略的な価格設定(作るほど赤字)のPS5の影響が色濃く出た形です。前年度は、新型コロナウイルスの「巣ごもり需要」がありましたから、ソフトの減収はある意味想定内です。むしろ気になることは2点あります。

◇PS5の出荷“ペースダウン”

 一つ目は、PS5の第1四半期の出荷数の230万台だったことで、“基準”の280万台を大きく割り込み、“ペースダウン”したことです。

 PS5の今年度(2021年4月~2022年3月)までの出荷計画は「1480万台以上」。この数字は、前世代機のPS4の出荷数が“基準”になっています。PS5の初年度の出荷数ですが、これまで二度の四半期は、いずれもPS4と同じか、それを上回りました。

 そしてPS4時代の2014年度第1四半期の出荷数は280万台でした。今回のPS5の四半期出荷数は230万台なので、単純に比べると50万台マイナス……約2割減となります。もちろんまだ9カ月もあるので十分巻き返せる……といえばそうでしょう。そして現時点でも、ソニーはPS5の通期計画を「1480万台以上」から動かしませんでした。

 説明会では「半導体不足でPS5に影響が出ているか」という質問があり、十時裕樹CFO(最高財務責任者)は「PS5については、今年の販売目標を設定し、それに見合うだけのチップの確保に努めている。さほど心配してない」とコメントしました。その発言を信じれば、出荷前の状態の品物があるなど、今後の出荷強化を意味しますが、いずれにしても不思議な出荷減です。

◇気になるアクティブユーザーの動向

 もう一つは、有料ネットワークサービス「プレイステーションプラス(PSプラス)」の会員数と、無料を含めたネットワークサービスを利用したアカウントの推定総数「月間アクティブユーザー」が減少したことです。

 PSプラスの会員数は4630万で、3カ月前(2021年3月期)と比べて130万減でした。過去にも減少はありましたし、コロナ前と比べれば積み増しています。

 月間アクティブユーザーの1億400万も同じで、前年同期(2020年4~6月)の1億1400万から減らしています。ただしコロナ前(2019年4~6月)の9800万からは増えています。

 「1億400万」というアクティブユーザーの数字について、決算発表説明会の会見でも出席者から(当然)質問が出ました。十時CFOは「強い数字とは捉えてないが、トレンドとして下がってくるとは思っていない」と言及。その一方で「中身の分析は我々もしているが、明確なトレンドはつかめていない。今月、来月も含めて見ていかないと」と話しています。

 難しいのは、今後の社会動向が不透明なことです。コロナが収束すれば「巣ごもり」の反動でアウトドアへの需要が膨らみ、ゲーム需要の下降は推測できます。逆にデルタ株の懸念が強まるなどして「巣ごもり」の再来となれば、その逆もあるでしょう。

 なおソニーグループの売上高は、前年同期比15.0%増の約2兆2568億円、営業利益は同26.3%増の約2801億円の増収増益でした。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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