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CIAの恐ろしい研究、MKウルトラ計画⑦

華盛頓Webライター
credit:pixabay

冷戦時代、米ソ両国は激しく対立していました。

そのような中でCIAはソ連に対抗するために、非人道的な実験さえ行っていたのです。

今回はCIAが行った恐ろしい研究、MKウルトラ計画について紹介していきます。

同意のない実験に関する法的問題

CIAとアメリカ陸軍による実験が明らかになると、被験者やその遺族は、政府が同意なしに実験を行ったとして訴訟を起こしました

政府は法的責任を回避しようと積極的に対抗したものの、いくつかの訴訟では、原告が裁判所命令や和解、または議会の特別措置を通じて賠償金を受け取ることができたのです。

フランク・オルソンの家族は、議会の特別措置により75万ドルを受け取り大統領ジェラルド・フォードとCIA長官ウィリアム・コルビーが家族に公式に謝罪しました

それ以前、CIAや陸軍は不利な情報を隠蔽しながらも、秘密裏に被害者家族に賠償を行っていたのです。

陸軍の薬物実験の被験者であったジェームズ・スタンリー軍曹も訴訟を起こしたものの、彼の訴えは「フェレス・ドクトリン」に基づいて退けられました。

1987年、最高裁は5対4の判決でこの防御を認め、スタンリーの訴訟を却下したのです

多数意見では、「軍の規律や意思決定に関わる訴訟は、軍事問題に司法が介入することになり、望ましくない」とされました。

一方、反対意見を述べたブレナン判事は、軍の規律維持の必要性が、憲法上の権利侵害に対する責任や罰則を免除すべき理由にはならないと主張しました。

彼は、1947年のニュルンベルク医療裁判が世界に示したことは、同意のない人間を対象とした実験が道徳的にも法的にも許されないということであり、アメリカはこの原則を無視して薬物実験を行っていたと批判しました。

サンドラ・デイ・オコナー判事も別の反対意見で、ニュルンベルク裁判で確立された「被験者の自発的な同意が絶対に必要」という原則を引用し、政府は強制的かつ無意識の実験に対して責任を負うべきだと述べました。

彼女は、第二次世界大戦中にナチスが行った人間実験に対してアメリカが果たした重要な役割に言及し、同意のない実験は道徳的にも法的にも許されず、被害者に賠償すべきだと主張したのです。

また、1990年にMKウルトラの存在を知った元アメリカ連邦保安官のウェイン・リッチーは、1957年のクリスマスパーティでCIAが彼の食べ物や飲み物にLSDを混入し、その結果としてバーで強盗未遂を起こしたとして訴訟を提起しました。

政府は当時、同意なしに薬物を使用していたことを認め、リッチーの行動がLSD摂取者に典型的なものだったと認めたものの、裁判所はリッチーがMKウルトラの被害者であることやLSDが強盗未遂の原因であることを証明できなかったため、2005年に訴訟は棄却されたのです。

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