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「小1のクラス分けや席次は保育・幼稚園からの情報で決まる」幼保小連携とは?現役保育士が紹介

オオタ先生現役保育士 幼保英検1級

現役保育士(幼保英検1級)です。

保育園や幼稚園を卒園して、小学校に入学。

入学したと同時にクラス分けや席順まで決まっていて、さらにクラス間で個性の偏りがないようにバランスよくクラス編成がされているはずです。

さて、入学まで子どもたちとはほぼ接したことがない小学校の先生たちは、どのようにして配慮の行き届いたクラス分けができるのでしょうか。

今回は、小学一年生のクラス分けにまで大きな影響を及ぼす幼保小連携と要録の仕組みについて紹介します。

小学校のクラス分けで重視されること

学年につき1クラスしかない小学校を除いては、個性が分散されてクラス間で格差がないようにと小学校の先生方はクラス編成に苦慮されています。

例えば、次のような項目を重視してクラス分けを行っているでしょう。

  • 学級間の格差がなく個性のバランスが取れていること(スポーツの得意な子、リーダーシップのある子などをそれぞれのクラスに振り分けるなど)
  • いじめなど過去に発生したトラブルに配慮できていること
  • 特別な配慮が必要な子に配慮できていること

「スポーツが得意な子を各クラスに振り分ける」ってどうやって

小学校の先生方は、当然のことながら入学するまで子どもたちとはほぼ接したことがありません。

例えば、「スポーツが得意な子を各クラスに振り分ける」といっても、どの子がスポーツが得意なのかを知るのでしょうか。

「保育所保育指針」では次のように定められています。

(2) 小学校との連携
(中略)
イ 保育所保育において育まれた資質・能力を踏まえ、小学校教育が円滑に行われるよう、小学校教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け、第1章の4の(2)に示す「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」を共有するなど連携を図り、保育所保育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努めること。
ウ 子どもに関する情報共有に関して、保育所に入所している子どもの就学に際し、市町村の支援の下に、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすること。
出典:保育所保育指針/厚生労働省

小学校の先生方は、子どもの個性や保育園や幼稚園での様子を次の2つの方法を通して入学前に知ることができるということですね。

  • 保育園(幼稚園・こども園)から小学校に送付される資料
  • 保育園(幼稚園・こども園)の先生との意見交換会

保育園(幼稚園・こども園)から小学校に送付される資料とは

保育園(幼稚園・こども園)から小学校に送付される「子どもの育ちを支えるための資料」とはどのようなものなのでしょうか。

保育所保育指針で小学校への送付が定められているのが、保育所児童保育要録です。

保育園では「保育所児童保育要録」、幼稚園では「幼稚園幼児指導要録」、認定こども園では「幼保連携型認定こども園園児指導要録」となっています。

名称は異なるものの、いずれも在園中の子どもの育ちに関する軌跡をまとめた資料です。

保育所児童保育要録の例/横浜市

小学校に送付される要録にはどんなことが書かれている?

保育園と小学校との連携は年長の担任が主に担当します。

保育所児童保育要録は次のような観点から見たときの園児の育ちについて、記載します。

  • 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
  • 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
  • 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する。
  • 保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  • 身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ。
  • 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
  • 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
  • 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。
  • 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。
  • 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  • 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
  • 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、保育士等や友達と心を通わせる。
  • いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
  • 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  • 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。

具体的には、例えば次のような事柄が要録に書かれています。

リーダーシップがあり発表会でも小太鼓を担当した。日々の生活においても他児に対し集合の声掛けを積極的に行うなどしている。困っている友達を助けるやさしさもあり、用品を棚から取り出すのに苦慮していた友達に声をかけて手助けしたりしている。今後もリーダーシップや優しさを活かして活躍していってほしい。

小学校の先生にその子の個性が伝わりやすいように、保育中の具体的なエピソードに触れつつ記入されています。

自分の思い通りにならないと他児に八つ当たりする傾向がある。頻繁にトラブルになる友達とは席を離すといった対応を3歳児クラスから続けている。一方、運動が得意で運動会のリレーではアンカーの役割を担った。縄跳びや鉄棒などもクラス内で一番上手く、他児のお手本役を積極的に行ってきた。

長所の他、小学校の先生がクラス編成や席次の決定の際に参考にしたほうが良い情報なども記載されることがあります。

また、0-1歳で入所してからの育ちの記録も、児童票などと呼ばれる書類で保管されています。このため、要録は年長時の姿だけではなく入所時からの様子についても触れられています。

小学校の先生方は要録を見ることで「運動を得意とする子」や「リーダーシップを発揮しやすい子」などの個性を、子どもが入学して来る前に知ることができるのですね。

アレルギーの有無なども共有される

アレルギーや身体的な不自由などは、特に配慮すべき事項として記入されます。
例を挙げると次のとおりです。

ピーナッツのアレルギーがあるため、家庭と連携し食材の確認や除去食の提供を行ってきた。

アレルギーの有無だけではなく、在園中にどのように対処してきたかも申し送ります。

ぜんそくがある。特に季節の変わり目に頻発するため、体調の変化に注意する必要がある。

まとめ

小学一年生のクラス分けにまで大きな影響を及ぼす幼保小連携と要録について具体例を挙げながら紹介してきました。

次回は、「"小学校のクラス分けに影響大"保育園や幼稚園から学校に共有される情報とは?要注意保護者情報まで」と題して、

保育園(幼稚園・こども園)から小学校に提供される情報について、さらに掘り下げて紹介します。

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現役保育士 幼保英検1級

共働きの現役保育士です。「うちの子保育園で何してる?」をテーマに保育園のリアルを伝えます。 幼保英語検定1級・TOEIC 875・ヤマハ指導グレード5級 自身も保育園児の母であった経験から、保護者の立場に立った情報提供を心がけています。 保育園・幼稚園生活が少しでも楽しいものになりますように。

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