ギター・レジェンドが再現してくれたコアなグルーヴの真髄
エストニアにも24丁目は
あるのだろうか…。
そんなたわいもないことを空想しながら、
1曲目ですでにボクのタコメーターは
レッドゾーンに突入してしまっていました。
あくまでもレジェンド感を
撒き散らしっぱなしの川崎燎。
その彼を、オール・エストニアンなメンバーが
リスペクト満載で臨んでいるステージ。
それゆえに、ニューヨーク的なラフさは
望むべくもないのだけれど、
その代わり個人授業的な音楽学校の
スタジオで繰り広げられるような
濃密な距離感が感じられる関係性が
伝わってきたものだからおもしろい。
教材はまず、北欧系ハード・フュージョン。
ヨナス・エルボーグやヨハンソン兄弟
といった名前を彷彿とさせるサウンドが
ちりばめられています。
その曲のタイトルは「ハイチ・B」。
1978年に川崎燎が制作したアルバム
『トリンケッツ・アンド・シングス』
ジョアン・ブラッキーンとの
コラボレーションによるこのアルバムに
収録されているナンバー。
この7拍子のハードなアレンジが、
ある意味でこのユニットの性格と
方向性をすべて示していたかもしれない。
セット・エンドには、
5年ぶりの新作『レヴェル8』のタイトル曲、
すなわちこのユニットのテーマ曲も演奏。
しかし、川崎燎の“若さ”を確認した
というよりは、彼の業績の“若さ”
すなわちエヴァー・フレッシュな
ジャズとはなにかを再確認させられた
気分になったステージでした。