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この秋ラニーニャ現象発生へ 台風への影響と備え#専門家のまとめ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ラニーニャ発生時の2022年9月、鹿児島に上陸した台風14号、ウェザーマップ作画

 この春、エルニーニョ現象は終息しましたが、秋にはラニーニャ現象が発生する可能性が高く、世界的な異常気象の連鎖が止まりそうにありません。ラニーニャ現象が台風に与える影響や台風への備えをまとめました。

ココがポイント

▼この秋に、ラニーニャ現象が発生する確率60%

エルニーニョ監視速報(No.382)2024年6月の実況と2024年7月〜2025年1月の見通し(気象庁)

▼ラニーニャ現象が発生すると、秋に台風の発生が増え、短い日数で上陸する

2024 年も猛暑か?台風活動はどうなる?(SENSOR No.073 東京海上研究所)(東京海上研究所ニュースレター)

▼防災気象情報の意味を理解して、天気が荒れる前に、対策と避難をする

大雨や台風の気象情報に注意して 早めに防災対策・避難行動を行いましょう(政府広報オンライン)

エキスパートの補足・見解

 ラニーニャ現象とは南米ペルー沖の海面水温が基準値よりも低くなる現象のことです。

 夏は太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、猛暑になりやすい。また、台風はいつもよりも北西にずれて、日本に近い海域で発生する傾向があります。

7月以降、台風の発生数が増える

 今年は5月に台風1号、2号が発生したものの、6月は台風が発生しなかったため、発生数は平年の半分程度に留まっています。

 しかし、例年、7月から10月は台風の発生が多くなる時期です。今年は発生が少ないからといって油断はできません。台風は一年間に25個程度発生し、そのうちの半分が日本に近づいたり、上陸したりします。

【月別】台風の発生数(平年値)、筆者作成
【月別】台風の発生数(平年値)、筆者作成

台風の発達に猛暑が影響

 猛暑は海の水温にも影響します。このところの暑さで、日本近海の海面水温は平年を大幅に上回り、日本の南には30度以上の海域が広がっています。

日本近海の日別海面水温(2024年7月12日)、気象庁ホームページより
日本近海の日別海面水温(2024年7月12日)、気象庁ホームページより

 台風は海から供給される大量の水蒸気により発達します。高温多湿な海域ではより発達しやすくなるといえます。

 今後は台風の発生が増え、大型化する可能性があります。今のうちに、台風に備えてください。

【参考資料】

気象庁ホームページ:過去の台風資料

気象庁ホームページ:海面水温に関する診断表、予報、データ

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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