ケミカルピーリング製品の選び方と使用上の注意点:皮膚科医が解説
【ケミカルピーリングの危険性:FDA(アメリカ食品医薬品局)が警告】
皆さん、ケミカルピーリングという言葉を聞いたことがありますか?美容に興味のある方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。ケミカルピーリングとは、化学薬品を使って古い角質を除去し、肌を若返らせる美容法のことです。
最近、アメリカのFDA(食品医薬品局)が、専門家の監督なしにケミカルピーリング製品を購入したり使用したりすることに対して警告を発しました。この警告は、深刻な皮膚障害のリスクがあるためです。
FDAによると、美容製品店やオンラインで販売されている多くのケミカルピーリング製品には、トリクロロ酢酸(TCA)、グリコール酸、サリチル酸、乳酸などの成分が含まれています。これらの成分の濃度が高すぎると、家庭で安全に使用することができません。
【皮膚への影響:化学熱傷のリスクと症状】
ケミカルピーリング製品を不適切に使用すると、化学熱傷を引き起こす可能性があります。その症状には、以下のようなものがあります:
1. 激しい痛み
2. 腫れ
3. 感染
4. 肌の色素沈着や変色
5. 傷跡の形成
場合によっては、緊急の治療や皮膚科医、外科医による専門的な加療が必要になることもあります。
ケミカルピーリングは確かに効果的な美容法ですが、その使用には細心の注意が必要です。美しい肌を目指すあまり、取り返しのつかない事態を招くことは避けたいものです。
【安全な使用法:専門家の監督と適切な製品選び】
では、ケミカルピーリングを安全に利用するにはどうすればよいのでしょうか?
1. 専門家の監督下で行う:
ケミカルピーリングは、皮膚科医や訓練を受けた美容専門家の監督下で行うことが最も安全です。
2. 濃度に注意する:
市販のケミカルピーリング製品を使用する場合は、成分の濃度に十分注意してください。高濃度の製品は、専門家の指導なしに使用すると危険です。
3. パッチテストを行う:
新しい製品を使用する前には、必ずパッチテストを行いましょう。腕の内側など、目立たない部分に少量塗布し、24時間様子を見ます。赤み、かゆみ、腫れなどの症状が出た場合は使用を中止してください。
4. 使用頻度と時間を守る:
製品の説明書に記載された使用頻度と時間を厳守してください。過度な使用は皮膚にダメージを与える可能性があります。
5. 日焼け止めを忘れずに:
ケミカルピーリング後は肌が敏感になっています。必ず日焼け止めを使用し、直射日光を避けるようにしましょう。
日本でも、ケミカルピーリング製品は美容クリニックや皮膚科で処方されるものから、ドラッグストアで購入できるものまで様々です。しかし、アメリカFDAの警告を踏まえると、日本でも同様の注意が必要といえるでしょう。
ケミカルピーリングに興味がある方は、まず皮膚科医に相談することをおすすめします。万が一ケミカルピーリング製品の使用で皮膚トラブルが発生した場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科を受診してください。早期の適切な処置が、症状の悪化を防ぐ鍵となります。
参考文献:
FDA warns against purchasing or using chemical peel skin products without professional supervision _ FDA.pdf (2024年7月30日)