長友佑都の変化、柔らかな心で『世界一』へ。「自分と戦う必要はない、ただサッカーを楽しみたい」
長友佑都の言葉、いや、姿勢が変わった。そんな印象を受けた。
23日に開催された、著書「長友佑都 体幹トレーニング20」の55万部突破記念イベント(※来年1月発売の第2弾「長友佑都 体幹×チューブトレーニング」のPRを兼ねたイベント)。この日、イタリアから帰国したばかりの長友は、ファンに向けて2014年をこう振り返った。
「ワールドカップ後は、サッカーが楽しくないなという時期もあった。ケガもあって、2014年は、うまくいかないことがたくさんありました。ただ、ただ、逆に言えば、これまで28年間生きてきた中で、人間的にも一番成長した年でしたし、この先の自分が楽しみです」
「これまでは強い自分でなければいけないと思って常に葛藤していたけど、自分自身と戦う必要はないなと思うようになりました。自分が満足して、楽しんで、というのが大事。柔らかい心というんですかね。“かたい心”だともっと“かたいモノ”にぶつかったときに折れてしまう。スポンジのような心なら折れないし、変わることもできる。その心の在り方が大事だと自分の中で学びました。日々を楽しむ、感謝する、当たり前のことにつきるなと考えています」
イベント終了後の囲み取材、長友はワールドカップ後の心境について、さらに言葉を掘り下げた。
「サッカーが単純に楽しくないなら、セカンドキャリアでやりたいこと、大きな夢もあるから、サッカーをやめてそっち(セカンドキャリア)に移ってもいいかなと考えたりもしました。生きがいをもって楽しめる仕事をやっていきたいし、そういう人生を生きていきたいと思っていますし」
ーーその時期はもう乗り越えた?
「はい、気持ちの面での低下は乗り越えました。むしろ、いい精神状態。サッカーが楽しいというのが今は一番で、走るのも楽しいし、何をやるにも楽しめないと意味がないということを改めて感じます。サッカーが楽しくないという状態は初めてだったし、自分のサッカー人生を懸ける気持ちで臨んだワールドカップだったので、燃え尽きた部分が自分の中であったのかなと。目標、夢が見えてこない状況はサッカーを始めてから初めてでしたし、こういう自分もいるんだなということを感じたし、改めてサッカーをやれる喜び、幸せを感じています」
ーーどう乗り越えたのか?
「ケガとか、体調不良とか、いろんなことが重なりました。その中で、自分自身を見つめる時間ができて、時間が解決してくれたというか、そういう時間が大きかったですね。自分の中で答えが出たという部分があって、これまでは『サッカー選手の長友佑都』を自分の中でどこかで意識していた、弱い自分ではなく、サッカー選手の長友佑都を意識しすぎていたことで、自分自身と戦おうとしていました。それはもったいないことで、自分と戦う必要はない。まずは自分自身が楽しめないとと考え、完全に吹っ切れましたね」
ーー吹っ切れるきっかけとなったことは?
「復帰戦のヴェローナ戦(2014年10月9日)ですね。直前にインフルエンザにもなっていて、こんな状態で試合できるのかなというくらい体調的には最悪で、そんな不安の中で試合に入ったのですが、その前にメンタル的に吹っ切れていた部分もあったので、精神は肉体を支配しているというか、肉体がぼろぼろでも精神力があれば体は動くということを学んだ試合でした」
ーー2015年の抱負は?
「2015年はとにかく楽しみたい。W杯の予選があるからとか、アジアカップがあるからとか、何かをしなければいけないという部分は自分の中にはいらないかなと。今まで、その『しなければいけない』ばかりでここまで来たので、ただそれには限界があって、もっと楽しみたいなと、サッカーを単純に楽しみないなというのがあって、それが2015年の目標というか、ビジョンですね。とにかく今を楽しもうと」
取材終了後に「2015年は楽しんでください」と声をかけた。「はい、楽しみます!」と笑顔の返事。2015年の長友佑都が楽しみだ。