90’s遺伝子を強烈に解き放つ、fuzzy knotによるマインドをハックする時間軸を超えた音楽体験
●90年代ポップカルチャーの息吹を次世代に継承するミッシングリンク
音楽ムーヴメントは30年周期でめぐるという。昨今、70年代〜80年代の邦楽シーンを席巻したシティ・ポップ文化が、海外人気からの逆輸入を通じて盛り上がりをみせているのもユニークな事象だ。日本のポップカルチャーの本質とは清濁あわせ飲むミックスセンスであり、そんなごった煮状態から思わぬ個性が誕生する。ストリーミングサービスやYouTubeの世界的普及の結果、日本産音楽が海外で発見される事例も増えてきた。
80年代、J-POPという言葉がまだ存在しなかった歌謡曲全盛時代。インディペンデントなスタイルから東京ドームまでを駆け抜けたREBECCA、BOØWY、TM NETWORKなどの躍進によって、洋楽センスを取り入れた日本オリジナルのロック / ポップミュージックが誕生した。バンドブーム、ミリオンヒット、CM&ドラマタイアップ、CDバブルなどの火種となり、結果、90年代にはB’z、L’Arc-en-Ciel、LUNA SEA、GLAY、宇多田ヒカルなどの台頭によって音楽シーン最盛期を迎え、市場が数倍にも膨れ上がることになった。その影響力は今の時代もなお、90’s遺伝子として強烈な存在感を解き放っている。
●ユニット名であるfuzzy knotとは、“曖昧な結び目”の意を持つ
そんな90年代ポップカルチャーに大きな影響を受けたアーティストがfuzzy knot(ファジー・ノット)だ。まず6月30日にリリースした1stアルバム『fuzzy knot』リード曲「Joker & Joker」のミュージックビデオを観て欲しい。
シドのShinji(Gt.)と、元Waiveのヴォーカリストとしても知られるRayflowerの田澤孝介(Vo.)からなるロックユニット。作曲はShinji、作詞は田澤が担当。シドでおなじみのShinjiによるカッティングギターが光るメロディアスなポップセンス、そしてハイトーンかつ安定した歌声が魅力の田澤による唯一無二の存在感の融合。fuzzy knotとは誤解を恐れずに言えば、2021年代のCOMPLEX、V2とも言えるアグレッシヴなプレミアム・ユニットだ。
Spotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』では、TOPカバーを飾っている(※2021年7月6日現在)。
彼らの作ったプレイリストをみていると、BOØWY、X JAPAN、SIAM SHADE、GLAY、L’Arc-en-Ciel、TUBE、REBECCA、ZIGGY、サザンオールスターズ、COCCO、久保田利伸、松任谷由実、安全地帯などの名前が並ぶ。ジャンルを超えた、強烈な存在感を持つモンスターアーティストばかりだ。
そもそも、ユニット名であるfuzzy knotとは、“曖昧な結び目”の意を持つ。二人が影響を受けた90年代サウンドを織り交ぜ、ジャンルに縛られない音楽発信。90年代ポップカルチャーの息吹を次世代に紡ぐミッシングリンクといった存在といえるかもしれない。アルバム作品について質問してみた。
●時間軸を超えてミュージックラバーのマインドをハックする
<メールインタビュー>
——アルバム『fuzzy knot』を生み出す上で、どんな音楽にインスパイアされましたか?
Shinji:素直な気持ちで自分のやりたい事と自分らしい表現がしたく、90年代の美しいメロディーを聴いて育ったので、歌メロは一番大事にして楽曲を作りました。
田澤:自分の中から浮かんで出てくるものを素直に形にした感じです。
——fuzzy knotとして、初のアルバム作品が完成した感想を教えてください。
Shinji:どの曲も妥協せずに作れたので、一人でも多くの人に聴いてもらえたら嬉しいですね。
田澤:凄いの出来ちゃったなー、、。
2021年を占う、90年代ポップセンスの継承を今の時代感であらわす最新アクション。
アルバムリード曲「Joker & Joker」では、白ホリのスタジオに二人というミュージックビデオがCOMPLEX「BE MY BABY」を彷彿とさせ、1stシングル「こころさがし」ではB’zを匂わせ、「キミに降る雨」では言語感覚としてあえて確信犯的に90年代センスを醸し出す。
二人が感じてきた音楽の楽しさ、喜びを追体験する、今の時代において新感覚なポップネス。時間軸を超えてミュージックラバーのマインドをハックするfuzzy knotの動向に注目したい。
fuzzy knotオフィシャルサイト