160年の銘菓と塩キャラメルの組み合わせは唯一無二「まつほ」はギフトやご褒美にしたくなるほろ苦煎餅
和スイーツ、ネオ和菓子という言葉が耳慣れた存在となってしばらく経ちましたね。
既存の商品にあんこやバター、フルーツといった素材を加えるだけで美味しくいただけるものもありますが、一筋縄ではいかないお菓子も。
岐阜県大垣市の城下町にて、創業160年余りの間暖簾を掲げてきた老舗「田中屋せんべい総本家」さん。煎餅と申しましても、米菓ではありません。小麦粉や自家製の甘口味噌を使用し、天然といわれるたい焼きのように、一枚ずつ重厚な型に生地を流して焼き上げる「みそ入り大垣せんべい」を筆頭とした小麦煎餅の名店です。
とはいえ、時の流れと共に幾多の経営難に直面してきたこともあるとか。そこに切り込みを入れ、新たな時代を切り開いたのが六代目である田中裕介氏です。
今回は、田中屋せんべい総本家の革命家・田中さんの「革命菓」といっても過言ではない「まつほ」をご紹介。
大人の手の平サイズほどのお煎餅は、開封した瞬間からキャラメルとお味噌が織り成す甘くこっくりとした香りにうっとり。裏面からひっそりと主張する白胡麻も加わり、これはなかなか出会えない馥郁たる芳しさ。
自家製に切り替えたというキャラメルペーストを焼き上げたお煎餅に塗り、再度焼成するのですが、単純に生地に混ぜ込むのではなく上に塗るというのも革新的。更に、百人一首の歌が由来となっている菓銘にもあるように、欠かせないのが拘りの藻塩。
甘くほろ苦いキャラメルだけではなく、藻塩が加わるこにでより一層お味噌特有のふくよかな風味、甘味の輪郭がはっきりとした存在となり、和の要素がグンと上昇。味わいに深みと独特の香ばしさ、そして植物性の香ばしさで全体をそっとアシストする白ごまのおかげもあり、鼻通りも軽やかな余韻に。
ただの塩キャラメル、キャラメルテイストのお菓子と侮るなかれ。寒い日は深煎りの珈琲を丁寧に淹れて頂きたいですね。
販売開始から10年ではありますが、そこに際して想像を絶する苦労やキャラメルのように身を焦がすどころか、燃え尽きてしまいそうな日々もあったかと思うと、ついついひとくちの大きさが控え目に。
その隣で娘が無邪気にばりっと豪快な音を立てて満足げな笑みを浮かべていると、大人も子供もおいしく食べられるお菓子はこうしてこの先の10年も続いていくのだろうなと思うのでした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<田中屋せんべい総本家>
公式サイト(外部リンク)
岐阜県大垣市本町2-16
0584-78-3583
9時30分〜18時(日曜〜17時)
定休日 水曜・年末年始