「何もないわぁ！」と聞く、都城市夏尾町。私も風穴（記事はこちら）を取材に伺った時に、自然が豊かだなぁという印象でした。ところが、そんな夏尾を一変させる大きな看板が設置されていたのです！

何もないと言われていた夏尾にとって驚きの文字が飛び込んできます。今回はこちら、森の駅NATSUOさんにお邪魔させていただきましたので、オープン直前のリアル、なかなか見られない姿もお楽しみください！

県道45号を進み105号に入ると、先ほどの案内看板が見えてくるので、それに沿って進むと写真のように建物が見えてきます。左手は「ECOマッシュ」さん、そして今回お伺いするのが右手の「森の駅NATSUO」さん。

とても両手で囲うことは出来ない、巨大な切り株がお出迎えしてくれるのですが、日頃こんな巨木を見ないので、「森の駅」と言われる場所にとても期待値があがります。駐車場はここから上へ。この日はまだ入り口も完成に向けて作業中でした。大人も子どもも「でっけぇ！」と声をあげるサイズ感です。

入口を上がると白くてかっこ良い建物が見えます。この日はまだ工事車両などが多く往来していましたが、ここに多くのお客さんが来るのだなと思うとワクワクします。駐車場は現在20台駐車可能（思いやり駐車場含む）ですが、今後増設予定との事。すでに花輪も届いており、いよいよ来るオープンを感じますね！

建物に入ると、白を基調とした空間に漂う木の香りに、思わず深呼吸。天井も高いので解放感がありますね。天井のシーリングファンもオシャレな雰囲気に花を添えています。

ここは珍しい壁向かいの席。私は半個室感があって、こういう席も好きです。実はフリーWi-Fiがあり、コンセントが完備された席もあるとのことで、美しく整った環境にノマドワーク等のデジタルな仕事もグングンはかどりそうです。更にコーヒーの良い香りも漂ったら、もう最高ですよね。

こちらは一段あがっての個室。１２人掛けになっているのですが、真ん中をパーテーションで仕切り、６人×２部屋として使うこともできるようになっています。細かなニーズにも対応できるので有難いですね。「実はこのテーブル、１枚の木を半分に切って使用しているんですよ！その証拠に左右で同じ所に節があるんで、見てみてくださいね。」

更に驚いたのが、今までお見せした写真に写るテーブル。なんと１本のケヤキから全て作られているのです！席によって形の異なるテーブルがユニークで、自然の作り出した曲線が美しい。「あえて木の色も着色しなかったんです。ケヤキそのものの色を楽しんで欲しくて、業者さんにもそのようにお願いしたんです。」

物産品の予習！

こちらは入口入ってすぐの「物産コーナー」。棚の色もこだわって決めたそうで、食材を引き立てる良い色合いに仕上がっています。ここに地場産品を並べる計画もあると伺ったので、地元の生産者さんにとっても新たなビジネスチャンスになりそうです。お土産に色々な物を買い求められるのは嬉しいですね。

こちらが現在販売予定の物産品４種。どれも目を引くラインナップですね！今回わたくし４種をお向かいのECOマッシュ事務所にて購入してきましたので、拙い食レポ、ご覧ください。

１つ目は「あなた茸煮」。柚子胡椒を使った佃煮風の椎茸。思ったより濃くないのでおかずにちょうど良かったです。ピリッとした辛味に柚子の香りが鼻を抜け、あっという間に食べきってしまいました。

２合炊いて早速混ぜ込んでみました「椎茸めしの素」。まずこの丸ごとプリップリの椎茸に驚きました。レトルトなので柔らかいのかと思いきや、しっかり歯ごたえがあって食べ応え十分！椎茸と醤油の香りがたまらない、おかわり必至ご飯です。

ほっかほかの「しいたけとベーコンのカレー」。甘さは控えめでスッキリしています。喉の奥でピリッと僅かな辛味を感じますので、お子様には微妙なライン。ベーコンの香り立つなかにぷりっぷり椎茸が躍る、是非リピートしたいカレー。

「旨ぎょうざ」は今回20個入りを購入（冷凍）。食べた瞬間、すぐに椎茸を感じます。１cmほどの椎茸がぷるぷると食感良く、とても良い香りが鼻を抜けます。さっぱりした味わいなので、どんどん箸が進みました。

「力水」のパワーをあなたに

写真をみてお気付きの方もいらっしゃるかも知れませんが、「きのこ多いな」と思いませんか？なんとこの「森の駅NATSUO」、椎茸栽培で有名な「瀬口グループ」さんが手がけていらっしゃいます！

ここまでお話を聞かせてくださった瀬口幸子さん。この日も打ち合わせに奔走され、とてもお忙しそうでした。オープン前の多忙を極める頃にも関わらず、お時間を割いてあふれる想いを話してくださいました。

「入口すぐに『力水』って書いた水汲み場みたいな場所があるんですが、気付かれました？」この時は駆け足で登ってしまい見落としていたのですが、写真のように確かにこんこんと湧き出る水場がありました！これは魅力的ですね。

「元は『力さん』という方の土地で湧いていたお水だったんですが、水質が素晴らしかったので、こちらまで引いて使っています。この水は隣の『ECOマッシュ』でも使っていて、全体で水道の水は使わず、力水だけなんですよ！」井戸水とか山水とか、水質が良いのはよく聞きますが、どう個性的なのでしょうか？

「シリカの含有量がとても豊富で、ミネラルバランスも含めてとても褒められるんです。水質検査すると、その結果に驚かれて『こんなに凄い水は見たことない』って言われるんで、お墨付きですね」

椎茸が苦手なお子様が「ECOマッシュさんの椎茸なら食べられる！」ともお声をいただく程、優れた椎茸。「８cmくらいの大きい椎茸も作っているんですけど、大きくても大味にならず、香りも味も良くできるんです。力水は人間と植物には良い効果ばかりなんですけど、機械にはよくないようで、わざわざシリカを除去する機械を購入しないといけなかったんですよ。」と、その水質の高さを笑いながら話してくれました。まさに「力水」です。美味しい椎茸を作り出す力水はもちろん森の駅でも使われます。
想いを笑顔でお話しくださる幸子さん。なぜ「森の駅NATSUOを作るに至ったのか」に話が及ぶと、少しだけ寂しい表情をみせます。

夏尾の自然は課題でもあった

森の駅NATSUOの構想は、瀬口グループ社長の「瀬口軍吉」さんのアイディア。InstagramやTikTokでも「ぐんちゃん」として活躍中です。御年85歳で、まもなく誕生日を迎えるバイタリティ溢れる軍吉さんには、夏尾町に深い思い入れがあると幸子さんは言います。「夏尾に来るまでに、どう思いました？何もなかったでしょ。人口も高齢者が多くて３００人しかいない。途中で止まるコンビニも、飲食店も、休憩所もないんですよ。止まる所がないから若い人も来ないし…。だから人が集まる場所にしたいんです。」軍吉さんも「夏尾に恩返しがしたい。若い人が喜ぶことがしたかった」と仰います。軍吉さんは自他共に認める負けず嫌い。やるなら徹底的にこだわってやりたい、その想いを「森の駅NATSUO」全体で強く感じました。自然が豊かであるということは、同時に様々な課題があることを幸子さんとのお話で気付かされます。

「夏尾には小学校・中学校もあるんですけど、『特認校』なんです。ここに通わせている保護者は車が多いんですけど、待つところもないから不便という声がずっとあって。」役員をされていた経験から、校長先生などから聞くリアルな声を形にしたいとも思っていたそうです。「山の中にある特認校のイメージももっと明るくしたいし、保護者の方の負担も減らしたい。待ち時間にでも、一息つける場所があるってだけでいいんじゃないかなと思って。」特認校とは自然豊かな環境にある小規模校を中心に、同区内の希望した児童生徒に一定条件を付して特別に転校を認めるもの。小・中でお子様を通わせている保護者さんが、下校時間の違いによる待ち時間を車内待機するケースもあるそうです。

「瀬口グループでは幼児園も運営しているんですけど、そこから得た子どもへの配慮もあります。出先にはベビーキープのあるトイレは多いけど、子ども用のトイレがないという声を聞いたんです。確かにと思って小さな便座をバリアフリートイレに備えたんですよ。」バリアフリートイレなら、パパでもママでもお子さんと一緒にトイレに入ることが出来るので良いですね！おむつ交換もスムーズに分担できそうです。

バリアフリートイレから少し歩くと授乳室も完備されています。そこで驚いたのがエアコンが整備されていたこと！「ここら辺を車で走ると、おむつ交換もそうだし、安心して授乳できる場所もないじゃないですか。授乳室の設置は一旦白紙になった時もあったんですけど、やっぱり必要だと思ったんです。授乳中って本当に暑いから、どうせ作るならお母さんが安心して快適に過ごせる場所にしたくって、無理言って作ってもらいました。」

想いを継ぐこだわり

こちらはCAFE　REAMU（カフェリアム）の長峯さん（左）とスタッフさん。ここに設置されているコーヒーの機械は全て長峯さんを中心にみんなで決めたこだわりのもの。エスプレッソマシーンはSYNESSO、グラインダーはMAZZER・MAHLKONIG、ジェラートマシーンはFMI…コーヒーは大好きですがその辺り疎い私には初めましてばかりです。きっとコーヒーに詳しい方も納得の設備なのは間違いありませんね。

「カフェって男性は入りづらいと耳にします。ここら辺を仕事とかで走っていても、休憩したいと思った時に男性でも女性でも入りやすい場所にしたいんです。一人でも来ていただきたいので、キラキラしたような雰囲気よりは、落ち着いた空間を目指しています。」

落ち着いたCAFEにするなかで、長峯さんが特に力を入れたいのは接客だと言います。「こんな場所なので、お客様同士の交流もできたらいいなと思っています。店員とお客様の交流というのも大切にしたくて。店員側が丁寧すぎず、でもフレンドリーすぎず。距離感を含めた接客に、本当に重きを置いています。その人に合せた接客をしてニーズを見て、人疲れをさせてしまわないように。」

「夏尾は高齢者が本当に多いので、若者を取り込んでいきたい思いはあります。若い人にはゆっくりと、『デジタルデトックス』して貰えたらいいですね。」デジタルデトックスとは、デジタル機器の使用を自ら控えていくこと。ただドリンクやスイーツを出すだけではない、そこに付随する全てに丁寧にこだわっていきたいという、軍吉さんと同様の想いを強く感じました。

現在計画中のメニュー

メニュー関係はまだ未確定な部分もあり、特にレストラン人時のメニューにつきましては、今後も変更の可能性があるそうです。（写真：森の駅NATSUO様ご提供）オープン時は何かとイレギュラーがあるものですから、寛容な心で応援していきましょう！夫マン「しいたけステーキ食いてぇ！」

ここに書ききれない程のこだわりが詰まっている「森の駅NATSUO」。まだまだお伝えしたい思いがあるのですが、是非足を運んで感じていただけたらと思います。自然が豊かな夏尾町。森の駅をきっかけに、広く目的地として選ばれる場所になっていくのが楽しみです！ちなみにサムネイルの写真は木製の椎茸でした！非売品なんですって…（結構気に入っていた）

※７月１日（月）のみイレギュラーで営業とのことです。