Yahoo!ニュース

【京都市西京区】団地の空室をコミュニティースペースへ 大学生3人娘の挑戦 ミニカフェで世代超え交流!

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 京都西山山麓に広大な敷地が広がる洛西ニュータウンには、260.7haに人口約21,750人(令和2年時点)が暮らしているといわれます。しかし、平成17年時から比しても人口減少率22.1%に及び、京都市平均の0.8%を大きく上回り、高齢化率は約43%になる(京都市都市計画局住宅室住宅政策課調べ)(外部リンク)など、入居開始から30年を経過した現在、少子高齢化や人口減少、コミュニティの希薄化、交通の不便など、さまざまな課題を抱えています。

 そんなニュータウンを盛り上げようと洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクトに賛同した元気な女子大生たちがタウン内の東竹の里市営住宅エリアに飛び込んできて奮闘しているとの噂を聞きつけ、2024年7月9日に同団地の集会所を訪問しました。

 この日行われていた「ミニカフェ」の会場には、次々と住人らがやってきました。久御山町の株式会社アグティの行っている地域循環ワークシェアリングとしての洗濯物たたみの仕事を終える頃、3人の若い女性たちがやってきて、今、京都でブームになっているモバイル屋台を組み立て始めます。

 「らくさいっこ」と書かれたポップの上で緑茶とお菓子のサービスが始まりました。テーブルを囲んで、網戸がない、虫がやばい、この防虫の薬いいよなどの東竹の里市営住宅のあるあるネタや高齢者の住人たちから終戦を迎えた子供の頃の話など、住人らと女性たちがすでに打ち解けあって友人のように話が盛り上がっていきます。

 それもその筈、月に2回ほどの開催でミニカフェは12回を数えました。前回は、住人らの要望で、「歌声喫茶」を開催。昭和ソングや演歌タイムでは、「上を向いて歩こう」「愛は勝つ」など、それぞれ好きな曲を出し合い、くじ引きで出た曲に合わせて、らくさいっこたちも一緒にペンライトを振りながら歌ったのだそう。

 「この子たちが来てくれるようになって、ミニカフェの日が楽しくて待ちきれないのよ」と話すのは、84歳になる荒牧紀代子さん、5歳の時に終戦を迎えたといいます。荒牧さんは、若いころからミシンを踏むのが得意です。ポシェットや巾着などもお手の物。「らくさいっこ」たちもプレゼントしてもらったお揃いの逸品を持っています。

 「らくさいっこ」は、「就活で迷って自分の生き方を考えたいと思った」というぽかぽか隊長こと京都女子大学の浦井陽向さん、「大学で社会問題を学んで実際に地域で体験したいと考えた」というにこにこ隊長こと京都府立大学の渡邊優希さん、「お年寄りや子どもたちが抱える問題をまちづくりを通して解決したい」というわくわく隊長こと立命館大学の大竹莉瑚さん。それぞれ4回生です。

 大学も専攻もばらばらな3人娘は、縁あってこのプロジェクトで知り合いました。それぞれ、「今の社会やまち、生き方にもやもやを抱え、自分らしく働ける地域や社会の在り方を模索していたという共通点があった」のだそう。

 取り組みを始めた早々に、団地1階の空き部屋を改装して、気軽にコミュニケーションができる場やミニ図書館、自由にシェアできるスペースがあって、誰でも仕事ができる場、イベント企画もできる場を作ろうとクラウドファンディングにも挑戦。この2月19日にスタートし、4月7日に目標の100万円を達成し、138名の人たちから、1,243,000円もの支援が寄せられました。

 メンバーの一人、青森県出身の大竹さんは、この日、住人と一緒にやってきました。この6月に活動を続けるために市営住宅の一室に引っ越してきたからです。「住人さんとの心の距離がよりぐっと縮まった」といいます。浦井さんも「コミュニティスペースで人とのつながりを感じて、困っている時に頼れる人がいないなどの孤独感を無くしてもらえたら」と話します。

 いよいよ、コミュニティースペースの工事も始まります。これからも「らくさいっこ」と住人らの活躍を応援したいですね!

 東竹の里市営住宅管理事務所 京都市西京区大原野東竹の里町3丁目3

らくさいっこ(外部リンク)

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

HOTSUUの最近の記事