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男子の新ツアー構想だけじゃない。女子ゴルフ界にも、サウジ・マネー!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

男子ゴルフのPGAツアーに対抗する新ツアー創設の動きが、ここ数日、妙に顕著になり、米ゴルフ界はてんやわんやの大騒ぎとなって揺れている。新ツアーのバックには莫大なサウジ・マネーがあると言われているのだが、そのサウジ・マネー勢力は、どうやら女子ゴルフ界にも手を伸ばしている様子だ。

というのも、東京五輪・銅メダリスト、元世界ランキング1位のリディア・コー(ニュージーランド)は、米女子ツアー(LPGA)で平均ストローク・ナンバー1に贈られるベア・トロフィー受賞候補の筆頭に位置付けられているにも関わらず、その受賞チャンスを手放してまで、サウジ・アラビアで11月に開催される2試合に出場するという。

ベア・トロフィーはとても栄誉あるアワードで、米女子ツアー選手の誰もが受賞を夢見ている。これまでコーは一度も受賞したことがなく、今季は悲願達成の絶好のチャンスであり、現状ではコーが受賞することは、ほぼ間違いない状況だ。

しかし、受賞するためには、米女子ツアーの大会で年間、最低でも70ラウンド以上プレーすることが条件とされており、コーは現在、65ラウンドだ。

サウジの2試合に出場すると、日程的にバッティングする米女子ツアーのペリカン・ウイメンズ・チャンピオンシップには出られなくなる。すると、米女子ツアーで残されている大会は最終戦のCMEグループ・ツアー・チャンピオンシップのみとなり、その4ラウンドを足しても、コーの年間ラウンド数は69試合止まりになり、70ラウンドという条件を満たすことができなくなる。

だが、そうなることを承知の上で、コーはサウジの2試合に出場するという。

米ゴルフウィーク誌によれば、欧州女子ツアーの共催大会とされているその2試合のバックについているのは、サウジの投資ファンドで、その投資ファンドは、グレッグ・ノーマンをコミッショナーに据えて男子の新ツアーを立ち上げようとしているサウジの企業(リブ・ゴルフ・エンタープライズ)のグループ企業だそうだ。

当の本人であるコーは、すでにサウジ・アラビアを初訪問して試合に出ることに喜びを感じている様子だ、

「いろんな国でプレーできることは素晴らしい。その国の若い人々を刺激することができたら素晴らしい」

コーの選択が、今後、「米女子ツアーよりサウジの大会」と考える選手を増やすことにつながるのではないか。女子ゴルフの世界にもサウジ・マネーの力が押し寄せてくるのではないか?そんな不安と動揺が一気に膨んでいる。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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