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ジダンに必要不可欠なカゼミーロ…レアル・マドリーの変わらない中盤の軸

森田泰史スポーツライター
パスを送るカゼミーロ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

名将には、欠かせない選手というのがいる。レアル・マドリーを率いるジネディーヌ・ジダン監督にとって、それはカゼミーロに他ならないだろう。

今季、ジダン監督が初めてカゼミーロに休養を与えたのはリーガエスパニョーラ第17節バレンシア戦だった。バルセロナ戦を控え、累積出場停止にリーチがかかっていたカゼミーロを、スタメンから外した。それまで、カゼミーロは21試合連続で先発出場していた。

■コンディション管理

「フットボールは90分の試合で終わるわけではない。僕は狂ったようにリカバリーに取り組んでいる。自分は世界で有数のコンディションを気遣う選手だと思う」

そう語るカゼミーロは、マドリーで早めに練習に行く選手の一人だ。常に第一グループに名を連ね、一方で練習場を後にするのは最後のグループだという。自宅には100平方メートルのジムが備え付けられ、パーソナルトレーナーを雇ってコンディション管理を行っている。

また、カゼミーロは食事管理を徹底している。以前は「フェジョアーダ」が大好物だった。インゲン豆、豚肉、米、オレンジ、小麦粉などを用いたブラジル料理だ。だが現在は鶏肉やサラダを積極的に摂っている。

「カゼミーロは、怠惰だと考えられがちなブラジル人のイメージを変えていると思う」とは、ロドリゴ・ゴエスの弁である。マドリーとブラジル代表で共に戦う若きプレーヤーにとって、カゼミーロは模範となる存在だ。

ジダン監督がカゼミーロを外せない理由は、中盤での守備力にある。ボール奪取数はチームトップの数字で、カゼミーロ(140回)、セルヒオ・ラモス(117回)、トニ・クロース(96回)、ダニエル・カルバハル(92回)、ラファエル・ヴァラン(69回)となっている。

■プレーリズムを操る選手

ただ、そのカゼミーロに「レアル・マドリーで、プレーリズムを決めているのは彼だ」といわしめる選手がいる。それは、クロースだ。

出場時間数を見ると、リーガで1000分以上プレーしている選手は数少ない。S・ラモス(1590分)、カリム・ベンゼマ(1565分)、カゼミーロ(1500分)、カルバハル(1440分)、ヴァラン(1350分)、クロース(1324分)の6名のみだ。

クロースは今季リーガ17試合に出場して、パス本数1149本、パス成功本数1070本、パス成功率93%を記録している。中盤で機械のように、淡々と、正確にパスを送り続ける。

また、今季のクロースは積極的に攻撃参加している。クロースの枠内シュート数12本は、ベンゼマ(12得点/枠内シュート数35本)に次いで、チーム2番目の数字だ。ボックス・トゥ・ボックス型の選手として評価を高めるフェデリコ・バルベルデが成長し、クロースの守備の負担が軽減されている。

F・バルベルデの台頭とイスコの復調で、中盤のポジション争いは激化した。ジダン監督は4-3-3と可変式4-4-2を併用し始めている。だが複数タイトルを獲得するには、チームに一本軸を通さなければいけない。その「軸」となるのが、カゼミーロとクロースなのかもしれない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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