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【神奈川県】湘南台駅から徒歩30秒に穴場!女性職人による焼鳥コースはジューシーでボリューム充分!

今回冒険するのは、神奈川県藤沢市の焼鳥屋「JIROCHO」。最寄りの湘南台駅を地上に出て徒歩30秒という好立地。この藤界隈では珍しく、地鶏にこだわった焼鳥コースを味わえる専門店だ。

湘南台駅界隈では珍しい焼鳥専門店

湘南台駅のまわりは大衆店が軒を連ねるなか、ここは浮かび上がるような店構え。暖簾をくぐると温かく明るい声で迎えられた。その声の主は店主の亜里子さん。焼き手も担う、いわゆる女性職人だ。都心では女性が焼く焼鳥屋も少しずつ増えてはいるものの、まだまだ珍しく、亜里子さんはキャリア的にも女性職人の先駆け的存在だと思う。

さぁさぁ、何はともあれ焼鳥だ。「JIROCHO」は今どきの焼鳥屋らしくコースのみ。スープにつまみ3種、串5本が付く「焼鳥コース」(3630円)か、スープにつまみ5品、串8本、〆ものが付く「JIROCHOコース」(6050円)の2種。せっかくの湘南台。ここはもちろん、フルコースと決めていた。

スープにレバーパテ、地鶏のたたき……

ポタージュ
ポタージュ

まずはスープから。焼鳥屋らしく鶏スープをベースにしながら、ブロッコリーを合わせてポタージュに仕立てている。うーん、胃袋に沁みわたるような優しい風味ととろみ。ひと昔前の焼鳥屋では考えられなかったアプローチだけど、なんだか癒されるよう……。

レバーパテ
レバーパテ

そして、今や焼鳥専門店では大定番のレバーパテ。レバー感たっぷりに作る店もあるけれど、「JIROCHO」はそのレバー独特のクセがなく誰にも食べやすい味わいに仕上がっている。

添えられたカカオニブのカリッとした食感がニクいのなんの。バゲットの甘みと相まって、これならいくらでも食べられそうだ。

地鶏のたたき
地鶏のたたき

串の1本目は王道のねぎまから

ねぎま
ねぎま

前菜を肴に飲んで、そろそろ焼鳥の出番。「鹿野地鶏のねぎまです」と差し出されたのは、ふくよかで均整の取れた串打ちが印象的な1本……。噛めばジュワッと脂があふれ、肉はすっと切れていく。細かく隠し包丁を入れたねぎもホロリと溶けていくようで、なんとも繊細な味わい。1本目がこううまいと、自然と気分も高まるというもの。

ちなみに、この鹿野地鶏は最近扱う焼鳥屋も増えてきている鳥取県産の地鶏だ。地鶏としてはかなり若いのでぐっと押し返すような弾力はないものの、肉質はやわらかく、老若男女、世代を問わず食べやすい鶏だと思う。皮目をパリッと仕上げれば、充分ごちそう。

せせり
せせり

ふっくらとしたささみに肉厚なむね肉

さび焼き
さび焼き

抱き身
抱き身

ここで緩急を付けるように、ささみだ。トップが小ぶりな個性的な串打ち。ささみというネタはたとえレア目に焼いても芯温が冷たければ興ざめするのだけど、その点「JIROCHO」のささみはふっくらとした火入れで、芯温もほわっと温かい。いい。これ大事。

続く抱き身(むね肉)はでっぷりとボリュームをもたせたポーションで。その大ぶりな1貫を丸ごと頬張れば。しっとりとしてじわり、じわり、うまみが広がっていくよう。ささみと同様、いい焼鳥屋は抱き身がうまいんだ。

じゃがいも
じゃがいも

手羽
手羽

とろんとろんの半熟玉子に、まさかの最中

半熟のうずらの玉子
半熟のうずらの玉子

とろんと半熟のうずらの玉子に続いて出されたのは、焼鳥屋としては珍しい最中。もちろん最中といってもスイーツじゃない。「クリームチーズにレーズン、刻んだいぶりがっこを加えています」と亜里子さん。そう、これは「おつまみ」としての一品だ。

パリッとした皮に包まれた、甘み、酸味、塩気……。派手さはないのだけど、こういうのがうまいんだ。酒がすすむ最中、個性的でいいじゃないか。手土産に欲しいくらいだよ。

鴨肉のつくね
鴨肉のつくね

〆はしっとり甘めのそぼろ丼で

椀もの
椀もの

そぼろ丼
そぼろ丼

地鶏の焼鳥を満喫して、椀ものでワンクッション置いたら、あとは締めるだけ。差し出されたのは見るからにしっとりとしたそぼろ丼。小さめの丼で出されるのでこれなら誰にも食べやすい。早速口に運ぶと、甘く味付けられたそぼろがほろり。どちらかというと甘辛いそぼろ丼が主流だから、これは意外なアプローチ。

しっかり食べて、ほどよい腹具合。地鶏へのこだわりもさることながら、終始朗らかな亜里子さんの接客も心地よかった。スタッフも女性陣でかためるなど、力強さとたおやかさが同居しているような焼鳥屋だと思う。女性客も多いようだけど、分かる気がするなぁ。

ちなみに「JIROCHO」は元々「次郎長」という大衆的な焼鳥居酒屋だったらしい。一旦はその味を継いだものの、亜里子さんは「焼鳥を追求したい」と一新して焼鳥専門店に。ここ湘南台でも感度の高い地元客を中心に浸透しているようだ。

ちょうど隣席に、当時の「次郎長」を知る常連客の姿があった。聞けば「店の看板に『ババアーが焼いてジジイが売る店』って描いてあったんだよ」なんて笑い飛ばす。いやぁ、なんとも過激なキャッチコピー。そうか、亜里子さんの親の代から女性が焼き場に立っていたんだ。時代、先取っているなぁ。

▼冒険のおさらい

①女性職人が焼き場に立つ人気店

②地鶏が堪能できる焼鳥コースのみ

③甘めのレバーパテ、最中も

店舗情報
【店名】JIROCHO
【最寄り駅】湘南台駅
【住所】神奈川県藤沢市湘南台2-4-5
【予約】0466-43-4212
【定休日】日曜、月曜、祝日
【串のアラカルト】なし
【コース(セット)】3,630円~
【鶏メモ】鹿野地鶏、信州黄金しゃも他

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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