「気弱な人」から「気丈な人」になるためのたった1つのポイント

「気弱な人」と「気丈な人」
以前、不思議だなと思うことがありました。
それは、どんなに偉業を成し遂げた方でも、どことなく気弱で、人前ではオドオド緊張する人はいるのだな、ということです。
オリンピックで銅メダルを取った方と対談したことがあります。私からすると雲の上の存在。人生の歩み方そのものが偉業なのですが、意外にビクビクしていて、こちらが気を遣うほどでした。取材を担当したメディアの方のほうが堂々としていた印象があります。
他にも、イノベーティブな商品を世に出した開発者や、5000人を超える企業に成長させた起業家のような成功者の中にも、意外とオドオドして、気が小さそうな方がいるのです。
気弱の反対は「気丈」です。「気丈夫」とも言います。
どんなにつらいことがあっても、緊張する場面でも、気丈に振る舞う人がいます。心が落ち着かない状態を相手に見せないよう、自分の態度、姿勢をデコレーションします。気丈な人は「強い人」と言えるでしょう。単純で鈍感な「鈍い人」とは違います。
※参考記事:「気が弱い人」が見習いたくなる2つのタイプとは?
リーダーシップを発揮するとき
ビジネスでリーダーシップを発揮するとき、場合によっては気丈に振る舞うことも重要です。社長から怒られたり、お客様からクレームを受け、部下が不安そうに「どうでしたか?」と尋ねてきたとき、
「私の責任でもないのに社長に呼び出され、1時間も説教された。管理者になって、いいことなんか一つもない」
と愚痴ったり、
「お客様にメチャクチャ怒られた……。私には向いてないよ、こういう役割は」
と弱音を吐いたりしたら、部下は幻滅するでしょう。部下についていきたいと思われる上司になるには、
「お前は気にしなくていいんだよ」
と一言、気丈に言うだけでいいのです。
「社長はなんと言ってましたか?」「私のせいでお客様にこっぴどく叱られたんじゃないんですか?」
と問われても、
「そんなことはない。目の前の仕事に集中しろ」
と気丈に振る舞えばいいのです。たとえ部下のせいで理不尽なことを社長やお客様に言われていたとしても、です。
「気弱」にならないコツ
過去どんな偉業を成し遂げた人でも、「気弱」になるシーンがあります。それは慣れないことをするときです。オリンピックに出場する選手でさえ、世界が注目する大舞台で活躍する人でさえ、インタビューではうまく話ができなかったり、気の利いたことを取材時に話せなかったりするもの。単純に慣れてないからです。
私はビクビクすることと、ビックリすることを別に分けています。
たとえば研修を受講しているとき、突然講師から
「あなたはこのことをどう思いますか?」
と、突然質問されたらビックリします。心の準備ができていないからです。しかし事前に講師から、
「講義中、たまに当てますから覚悟しておいてくださいね」
と言われていたら準備ができます。「ここで当てられたら何を言おう」「こういうケースでは、こう答えたらいいだろうな」などと常に考えることができます。
もともとの性格が「気丈夫」だったらいいのですが、そうでなければ、常に「準備」しておくことです。
部下の失敗のせいで社長から呼び出され、
「上司のお前がしっかりしてないからこうなるんだ! お前の責任だぞ、バカ野郎!」
と怒られたら、さすがに頭に来ます。「なぜ部下のせいでここまで言われなくちゃいけないんだ」と理不尽な社長に対し怒りの感情が湧くでしょう。この不満を部下にぶつけたくなる気持ちも出てくるはずです。
しかし、このような事態が社長に呼び出されたときから想定できたならビックリすることはないでしょう。社長に
「そんなこと言われても私の責任じゃありませんよ! 100%部下の問題です!」
などと言わず、ただ、
「申し訳ありませんでした」
と気丈に頭を下げられるはずです。長い目で論理的に判断すると、そのほうが丸くおさまると考えたのなら。そして、部下から「社長、なんて言ってましたか?」と問われても、
「心配しなくていい。目の前の仕事に集中しろ」
と凛とした態度で言えます。
ビックリすることは鈍感でない限り難しいですが、ビクビクすることことは、事前に準備することで回避できます。
「チームリーダーなんだから、こういう役回りをすべきときもある。社長に苦しい言い訳をしたり、部下に不満を口にしていたら誰からもリスペクトされない」
「リスペクトされなければ、チーム運営がうまくいかず、長い目で見るとストレスをためることになる。ここは気丈に振る舞おう。衝動的な態度だけはよそう」
気丈に振る舞うためには、衝動的にならないよう「心の準備」が不可欠です。「心の準備」を繰り返すことで「状況判断能力」が鍛えられていきます。